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アーツ・ホルダー  作者: 字理 四宵 
第五章 剣精の修行
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剣精の修行 -7

「落ち着いた訓練とは・・・」


昨日、あれだけ動き回っただけに、想像がつきにくい。前半のように、座学のようなことをするのだろうか。


「レイル。マナについて勉強したことはあるか」

「マナ・・・」


マナ。人間の体の中にある、不思議な力。人の力を増幅させ、怪我の回復を早めるもの・・・。使い方次第では野生動物や変異呪種を上回る力を出せる、人類の武器。アーツのほとんどが、マナの使い方を工夫し、自然には起きえない動きや速度を実現したもの。

僕が知っているのは、それくらいだった。誰に習ったわけでもないが、おそらく世間の認識とは大きくかけ離れてはいないだろう。


「基本的な話からしようか。まず、マナは数百年前に人類全員に発見されたという」

「へぇ・・・」

「誰かが発見して広まったのではない。ある日突然、人類全員がマナを使えるようになったのだ」

「えっ、・・・そうなんですか」

「文献には、そう残されている。鍛えた戦士が、ある日突然、マナを使わないと子供にも力比べで負けるようになったんだ。当時のショックは相当なものだったろう」


確かに、戦いを生業にする人たちにとっては、死活問題になるほどの出来事だっただろう。


「なぜそんなことが起きたのか・・・諸説あるが、有力なのが、突然増えた呪いに対抗するために、人間が持っていた力が目覚めたというものだ」

「突然増えた呪い・・・ということは、マナの覚醒も『何もかもが変わった日』の出来事の一つなんですか」

「恐らく、な」

「へぇー」


思わず、知識欲が充実した快感で歓声があがる。剣の腕が立つだけでなく、博識な剣精に感心もした。


「では、まずマナを使って素手でこの薪を割ってみろ」


そういうと、剣精は山積みになっていた薪を一本取り出し、柱に立てかけた。


「はい」


マナの操作にも、上手い下手がある。体の動かし方と同様に、マナを集める速度や移動するタイミングが上手い人がいるのだ。

僕も、マナの集中は苦手な方ではなかった。家ではもちろん斧を使っていたが、素手で薪を割るくらいなら、なんとかなるだろう。

まず、手刀にマナを集中させる。これで怪我をする可能性は減り、皮膚や筋肉の強度も上がる。

体重を乗せ、ひざ元の薪に手刀を繰り出す。


「ヤッ!」


乾いた音と共に薪が折れる。水分の少ない、ナラの木のいい薪だったせいもあるだろうが、綺麗に割れた。


「どうでしょう」


剣精に割れた薪を見せると、剣精はうんうんとうなずいた。


「よし、レイル。服を脱げ」

「いえ、そういうのは、いいです・・・」

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