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アーツ・ホルダー  作者: 字理 四宵 
第五章 剣精の修行
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剣精の修行 -6

神殿の階段を降りていると、ジャヴさんが待っていてくれた。なんだかんだで、面倒見のいいところがある人だ。

ジャヴさんのところまで走っていこうと思ったのだが、階段を降りている途中に膝が笑っていることに気づいた。


「おう、どうだった」

「へとへとです・・・」

「けっけっけ。ちゃんとマッサージしとけよ。明日起き上がれないぞ」

「はい・・・」

「特に報告することはないだろ? 連絡係にも、そう言っておいたぞ」

「はい・・・」


ジャヴさんと会話をしているうちに、なんだか急激な疲労と眠気で、フラフラになってきた。


「なんだよ、しょうがねーなー」


ジャヴさんは、そういうと背中の手斧を束ねて腰にぶら下げ、僕を背負って歩き始めた。


「すみません・・・」

「あのな、フラフラのお前を置いて帰ったら、俺がララベルに何個玉をつぶされるか、わかったものじゃないだろ」

「・・・」

「大丈夫だったのか? こんなんで、明日もいけるのかよ」


僕を心配してくれている声は、だんだんと遠くなっていた。気が付けば、僕はジャヴさんに背負われたまま眠りに落ちていた。


揺られて、降ろされて、何かをかけられて・・・虚ろな意識で、ぞんざいにされつつも、面倒をみてもらった気がする。


泥のような眠りから目が覚めると、窓の外は夕方だった。

夜勤に慣れていない僕は、時間の感覚が分からずに、混乱した。一体、今は何時で何時間寝たのだろう。

壁に手をついて筋肉痛の体を励ましながら寮の食堂に行くと、ジャヴさんと他の夜勤組が朝食を食べていた。

どうやら、仕事には遅刻ではないらしい。ほっとすると、僕もお腹が減っているのを思い出した。椅子に座るのも一苦労だったが、ありったけの食材を集めて朝食をとる。


「おう、体は大丈夫か」

「全身が痛いです・・・」

「マッサージしろって言ったろ・・・って、寝てたか」


こんな調子で、今日は訓練になるのか・・・不安だった。ただ、備えだけはしておかないとと思って、自分でも驚くくらいの量を食べ続けた。


「何なら、ララベルにもんでもらえよ。ジュリアでもいいな」


どこかのテーブルから野卑な冗談と笑い声が飛んでくるが、妙なリアリティがあって、僕とジャヴさんは笑えなかった。


「そういえば、ジュリアさんという人には、まだあったことがないですけど・・・」

「ああ、休暇中だからな。うちは、休みをためてまとめてとれるから、あいつはよく遠出をするみたいだな」

「へぇ・・・そんな制度が」

「あれ、言ってなかったっけ」

「初耳です。確か、ジャヴさんが説明をしてくれる係じゃ・・・」

「よーし、飯も食ったし、今日も働くか!」


いそいそと立ち上がるジャヴさん。それを追おうとしたが、太ももが張って椅子から立ち上がるのも一苦労だった。

結局、その後SSLから神殿までの道を、二倍以上の時間をかけて移動することになった。


「よしよし、よく来たな」


剣精は、今日も上機嫌で神殿の下まで迎えに来た。気が付くと、一緒にいたはずのジャヴさんはまた忽然と姿を消している。


「今日は、何をしようか色々考えていたんだが・・・って、なんだその屁っ放り腰は」


脚が上がらずに階段に難儀する僕を見て、剣精は驚いたようだ。


「足腰は強そうに見えたのだがな」

「僕もそう思っていたんですが、あんなに連続して早く動くのは、未体験でした・・・」

「そうか。ふむ。それなら、今日は落ち着いた訓練をするか」

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