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アーツ・ホルダー  作者: 字理 四宵 
第五章 剣精の修行
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剣精の修行 -4

「マナを使った強化術は攻撃に比べて、防御には向いていないというのは分かったな」

「はい」


剣精の説明は、一つ一つに理由がついていてわかりやすかった。もっと、ひたすら剣を合わせるような内容を想像していたので、座学的な部分が多いのは意外だった。


「攻撃を受けずによけろという意味も、分かったと思う。では、次はよけ方だな」


そう言って再び木刀を上段に掲げると、通常の十分の一程度のスピードでゆっくりと振り下ろし始めた。

僕のアーツのターゲットとなる動きの一つだ。


「これは、どうかわす」

「アーツを使わないなら・・・横か、後ろにかわします」

「うむ、では、これは?」


今度は、首を狙った横払いの軌道で、剣を振る。先ほどと同様に、剣速は非常に遅い。


「しゃがむか、スウェーバックします」

「じゃ、これは」


今度は、脛を切り付けてくる。


「飛んでかわします」

「よし・・・わかった。では、一つ一つ説明しよう」


「よっ」と言って木刀を指先に立てると、解説を始める。


「まず、一番やっちゃいけないのが、上に飛ぶことだな。何故だかわかるか?」

「うーん・・・体の自由がきかないから?」

「そうだ。わかっているじゃないか。戦いで重要な要素は、相手がどちらに動くかわからない、ということだ」

「はい」

「自分が1秒後にどこにいるのかを教えるのは、自殺行為に他ならない。上方向に跳躍してかわすのは、落下地点がほぼ確定するのと、着地後の硬直時間があるので危険だ。避けるべき選択肢だな」

「例えば、跳躍して屋根や木に飛び乗るというのは?」

「危険度は減るな。足に自信があるなら、選択肢としては、なくはないな」


剣精は僕の言葉に頷いて解説を続ける。


「次に、しゃがむという選択肢だが・・・」


そう言うと、木刀を水平にして、顔の高さから落とす。


「まず、これがしゃがむ速度の限界だ」


木刀が、床に落ちて乾いた音を立てる。


「単純な話だが、人間は物が落ちるより早くしゃがむことができない」

「え?」

「なぜなら、体を下に引っ張る力が落下以外にないからだ。跳躍やステップは、地面を蹴る力があるのに対し、しゃがむという行為は脱力が動作だからな」

「・・・」


言われてみればその通りなのだが、考えたこともなかった。


「足で地面を蹴る行為は、マナで速度を強化できるが、脱力の速度をあげるのには限界がある。したがって、ある程度のレベルの相手だと、しゃがむ速度より攻撃の方が絶対に早くなる」

「なるほど・・・」


僕は、興奮で、喉がカラカラになっていた。今まで持っていた常識が、覆っていく。


「周りにつかまるものがあれば、腕の力で調整はできるけど、あまり考えるべきではないな」

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