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アーツ・ホルダー  作者: 字理 四宵 
第五章 剣精の修行
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剣精の修行 -3

「さぁさぁ、始めようか。準備はいいかな」


いそいそと足元の砂を払い、剣精はうきうきと剣を振る。よっぽど退屈だったのだろうか。孫が遊びに来た祖父母のようだと思ったが、口に出すのはやめておいた。

僕は、二本のナイフを取り出し、逆手に構える。


「ほう、両刀にするのか」


剣精がニヤリと笑う。


「色々試してみようと思いまして」

「ふむ。では、手合わせをする前に・・・両刀使いのメリットとデメリットを言ってみろ」

「・・・え?」

「よく考えて、答えてみろ」

「ええと・・・メリットは・・・手数が増えます。攻撃につながりができて、隙が小さくなります」

「うん、まぁいいだろう。デメリットは?」

「両刀のデメリット・・・うーん、わかりません」

「自分の持つ武器やスタイルの向き不向きは考えておいたほうがいいな」

「はい」

「難しく考えなくていい。単純な話だ。片手で攻撃はできるが、片手で防御は難しい。相手が両手使いで武器を振ってきたとき、力の差があるので、片手ではまず受けきれない」

「確かに・・・」

「つまり、両刀使いは防御を削る代わりに、攻撃に重きを置くスタイルということだな」

「駄目でしょうか」

「いや? そんなことはないぞ。基本的に攻撃よりも防御の方が難しいからな。手っ取り早く総合力をあげるなら、攻撃を鍛えるに限る。かといって、防御をおろそかにできるわけじゃないからな、そこのところ、気を付けるように」

「はい」

「私も剣士の中では力のあるほうではない。だから、そもそも相手の攻撃を受けない。レイルも、まだ体躯が成っていないのだから、私と同じような戦い方になるだろう」


僕は頷く。確かに、僕はまだ成長期だ。ジャヴさんやコボル警備長のような身長や体格になるのには、まだ時間がかかると思う。僕より少し背が高い程度の剣精の戦い方は、参考になるだろう。


「基本的には、攻撃はすべてかわせ。相手の攻撃は受けるものじゃなくて、かわすものだ。本当にやむを得ない時以外は、つばぜり合いや剣での受けとは無縁と考えろ」

「わかりました」

「お、素直だな」

「まずは、やってみるしかないかなって・・・」

「うんうん。素直なことは、素晴らしい才能だぞ。では、私が剣を振るから、頑張ってかわしてみろ」

「え・・・!」


いうが早いか、剣精は一瞬で間を詰めてきた。僕がかろうじてかわせる速度で、無限のバリエーションで木刀が飛び出てくる。

僕が追い詰められてナイフで剣を受けると、たちまち弾き飛ばされる。


「実感したか?」

「はい・・・ちなみに、攻撃される部分をマナでカバーするのは、どうなんでしょうか」

「そうだな・・・習うより、やってみようか」


そういうと、剣精は上段に構えた。僕は、マナを両手に集中させて、剣戟を受ける準備をする。

頭上から、振り下ろしがくる・・・! と構えたが、剣精は構えのまま動かない。


・・・

・・・・・・


じりじりと、時間だけが過ぎていく。剣精の狙いはなんだろうか。

ふと一瞬、剣精の瞳に心を奪われ、僕のマナが緩んだ刹那。剣精の面打ちが放たれる。


「うわ!」


再びマナを集中させる間もなく、ナイフは叩き落された。


「わかったか? マナを集中させるのには、時間がかかる。相手の出方を見てから集中するんじゃ、間に合わない。マナを防御に使うのは、向いていないんだ」

「つまり・・・基本的に、戦いは攻撃にマナを使って、先手が有利ということですか」

「間違いない。アーツは、その極致だ。アーツを持つもの同士が戦えば、先にアーツを使ったほうが勝つ」

「問題は、アーツを使う状況に持ち込む方法」

「そう。だから、発動に条件のないアーツは評価が高い。レイルのアーツだと、靴を脱いでいなければ、使えないな」

「なるほど・・・」

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