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アーツ・ホルダー  作者: 字理 四宵 
第五章 剣精の修行
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剣精の修行 -2

翌日。僕とジャヴさんは、日勤からの引継ぎを聞いている。

ララベルさんに気絶させられた後、そのまますやすやと寝てしまったジャヴさんは、結局夜勤のリズムがとれなかったのか、あくびばかりをして眠そうだ。かく言う僕も、今まで夜勤どころか夜更かしもしたことがなかったので、油断をするとすぐ舟をこぎそうになる。寒い屋外に出れば少しは眠気が覚めると思うので、暖かい室内から、早く外に出たかった。


「以上だ。質問はあるか」


日勤のコボル警備長が、引継ぎの確認をする。今日も、特に異常はないようだ。終了報告をして夜勤が始まる。

コボル警備長に挨拶をして、僕とジャヴさんは神殿の方へと出発した。

日中もあまり人通りが多い道ではないが、夜道は特にしんみりとしている。そのせいか、余計に冷え込む気がして、僕とジャヴさんは言葉少なに歩き続けた。


「れ、れ、れ、レイル。や、山育ちは、これくらいの寒さなら、余裕なのか」

「さ、寒いものはさうい。です」

「へ、へ、へ。さういだってよ」


カチカチカチと、歯を鳴らして笑う。ジャヴさんの部屋に会った、土産物のドクロのようだ。


「ジャヴさんも、寒いなら、両側にも毛を生やしたらいいのに」

「ぽ、ぽ、ポリシーってなもんよ」


そう言いながら、火でも起こしそうな勢いで手をこすっている。

もう間もなく、神殿に差し掛かる・・・というところで、ジャヴさんの歩が止まった。


「あれ、一緒に来ないんですか」

「お、おう・・・俺はここらで見回りでいいよ」


入口の手前あたりから、ジャヴさんは動こうとしない。医者に連れていかれるのを嫌がる子供のようだ。

確かに警備区域はこの辺り一帯だが、神殿を中心の警備なので、ジャヴさんも一緒にくると思っていたのだが、手を引いてもかたくなに動こうとしない。


「レイル」


そこへ、階段の方から声がした。振り返ると、足音を立てずに階段を降りてくる女性の姿があった。剣精だ。


「ええと・・・こんばんは」

「おお、よく来たな」

「あ、ジャヴさん、ほら、剣精が来ましたよ」


ジャヴさんの方を見ると、そこにあったはずのジャヴさんの姿は忽然と消えていた。


「あ、あれ?」

「どうした」

「いえ、一緒に来ていた人が・・・」

「化体な髪型の男なら、逃げるように去っていったぞ」

「そうですか・・・」


そういえば、ジャヴさんは剣精にこっぴどくやられたと聞いたことがあったような気がする。そのあたりの苦手意識があるのだろうか。


「さぁ、あがろう。薪を貰ったから、火をくべたんだ」

「え・・・普段は、かがり火とか、暖をとるものはないんですか」

「そうだな。夜は基本的に暗闇での特訓をしているな」

「・・・」


さすがは、剣精・・・なのだろうか。

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