SSL -2
「はい、それじゃ、この街の地図を渡すから、目を通しておいて。任務が始まったら、ほかの笛番の人と一緒にやってもらうと思います」
「地図ですか」
「あれ? 地図はあんまり得意じゃない?」
「そうですね。地元の山にいた時は、あまり必要じゃなかったので・・・」
「そうかー。でも、これから任務で必要になることもあるから、覚えておこうね。首都は、道がきちんと整備されているから簡単だよ」
「はい・・・」
こうして、任務開始までの余った時間をララベルさんと地図を読む訓練にあてた。方角の見方と、道や主な建物の名前を一つ一つ覚えているうちに、少しずつ、SSLと思われる人間が増えてくる。
やがて、市場の鐘が鳴った。市場の小休憩と、SSL達の交代を告げる銅鐘だ。
「そろそろ夜の報告隊が帰ってくるから、引継ぎが終わったら、出発だよ」
僕が地図をしまうと、ララベルさんと僕が座っているテーブルに、僕の知らない男が腰掛けてきた。ララベルさんは、気さくに挨拶を交わす。
「おう、その子が、例の?」
「そう。まだ街に慣れてないから、仲良くしてあげて」
頭を下げると、片手をあげて応じる。銀色の髪を短く切り込んだ、がっしりとした体格の中年の男だ。
僕が知らなかっただけで、どうやらコボル隊は、ララベルさんとジャヴさん以外にもメンバーがいるようだ。
「見舞いに行けなくて、悪かったな。ディランだ」
そういうと、ディランさんはごつごつとした手を差し出す。
「レイルです。よろしくお願いします」
「ディランは、笛番のベテランだから、色々習うといいよ」
「はい。お願いします」
「なに、ベテランと言っても、逃げ回るのが得意なだけさ。チャンバラは、ジャヴやララベルに任せておこうぜ」
そういうと、ディランさんは大きな声で笑った。
「俺は、腕っぷしは弱いが、任務中に怪我をしたことはないんだ。この商売、体が大事だからな」
「・・・はい」
「そんなディランだから、レイル君に状況判断を教えるのには適任だと思うの」
「うちの隊は、俺以外は武器番だからな」
「ええと・・・まだ、ほかにも隊員がいるんですか?」
「うん、ジュリアっていう女の子と、あと、あの、髪が変なやつ」
「ちゃんとモヒカンって言えよ!」
遅刻ギリギリで、ジャヴさんが部屋に飛び込んでくる。ララベルさんは、変な顔で唇をいーっとして、それを挨拶とした。
「ふー・・・とにかく、ジュリアは今休暇中だから、後はコボル警備長がくれば、うちの隊は全員よ」
「わかりました。そういえば・・・警備長って、どんな役職なんですか」
「コボル警備長は、SSLの北地区の責任者兼、コボル隊の隊長よ。コボル隊の他にも、南は全部で35隊いて、首都の警備にあたっているわ」
「35隊・・・そんなに・・・」
「私も知らない人がいるから、全員は覚えられないよ。ただし、腕章をつけてたら、お互い挨拶してね」
「はい」
「隊長と警備長が兼任のような時は、位が高い方で呼ぶんだぞ」
ディランさんが付け加える。
なるほど・・・と、僕とジャヴさんが頷く。
そのコボル警備長も、すぐに登場した。僕の方をちらりと見て、小さくうなずく。
「よし、ミーティングを行う」




