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アーツ・ホルダー  作者: 字理 四宵 
第三章 剣精とアーツ審査
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剣精とアーツ審査 -7

神殿の外は、変わらず寒々としていた。コートの中に入ってくる風が、汗をかいたシャツの熱を奪う。街へ降り、市場の屋台で暖かいソーセージとパンを買って、かじりながらSSL本部へと向かう。考えてみれば、生まれて初めての買い食いだった。自分のお金を持っていること、それを好きに使うということは、親元にいるときは考えられなかった。

ずた袋の中のコインを確認すると、しばらく食べるのには困らなさそうだ。SSLの任務もお金を貰えるはずだし、暮らしていくのには困らないだろう。後は、弟が見つかれば、二人で暮らして・・・

そんなことを考えながら、SSLに着いた。


「あ、レイル君お疲れ様」

「おう、試練はどうだった? 全く歯が立たずにけちょんけちょんに罵倒されたうえに、ぼろ雑巾のように神殿の外に投げ出されたか?」


皆がコボル警備長の事務室で待っていてくれた。

・・・ジャヴさんの記述が、やけに具体的なのはなぜだろう。


「それが、実は・・・」


僕は、神殿で起きたいきさつを話す。


「け、剣精に稽古を!?」


ジャヴさん、ララベルさんはおろか、書類整理中だったコボル警備長も身を乗り出してくる。


「はい、剣精は追って書状を送ると言っていました・・・」

「レイル君、すごいのね・・・」

「うむ・・・こういってはなんだが、まったく期待していなかった分、驚きも大きいな」

「このままアーツ・ホルダーになると、僕に危険が大きいとか・・・それで、稽古をつけてくれるそうです」

「ギリギリギリ・・・」


ジャヴさんの方から、負の気配をむんむんと感じるので、視線を合わせないようにする。


「とりあえず、これでカール少佐への言い訳はたつな。剣精に認められたとなれば、スカウトしたという理由が成り立つ」

「そうね! これでコボル隊全員、堂々とできるわー。あの口ひげがしんなりするところを、見てみたい」

「ヤッパリカオカヨノナカカオカ」


唇をかみしめるジャヴさんに、ララベルさんが優しく語りかける。


「ジャヴ、大丈夫・・・あんただって、まともな髪型で、口を閉じていればそこそこの顔よ」

「ララベル・・・なぐさめてくれるのか・・・?」

「だから、レイル君が認められたのは、単純に才能のと将来性の差ね!」

「うわああ!」


頭を抱えて、部屋を飛び出していった。ララベルさんは、それを見送ってケラケラと笑っている


「ララベルさん・・・ジャヴさん、行っちゃいましたよ」

「いいのいいの、元はと言えば、あいつがその場をごまかそうとして、余計にこんがらがったんだから」


僕は、手斧を頭上に振りかざしたモヒカン男が街中を走り回ることを心配したのだが、街の人間も慣れたものなのだろうか、特に悲鳴などは聞こえない。


「よし、それでは、俺はカール少佐に報告をしてくる。ララベル、その間、SSLの任務を説明してくれ」

「はい」


僕は、襟を正す。いよいよ、SSLの任務が始まる。

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