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アーツ・ホルダー  作者: 字理 四宵 
何もかもが変わった日
198/200

化け物退治 その1

「化け物退治?」

「うむ。ちと、手を焼いておっての。お前さんたちの腕を借りたい」

「爺さん、弓精なんだろ? 自分でなんとかならないのか」

「……そこの刷毛頭の言うことも、一理ある。まぁ、行けばわかるが、わしにはどうしても倒せない相手なんじゃ。お前さんたちの人数なら、遅れはとらんと思うが……」

「ハケアタマ!?」

「それは、危険な相手なのでしょうか」


ララベルさんが、暴れるジャヴさんを抑えながら尋ねる。


「うむ。凶暴な獣じゃ。油断をすれば、命を落とすかもしれん。無理強いはしないが、わしも里の者に被害が及ぶのを、指をくわえて待っているわけにはいかん。できれば頼みたい」

「わかりました。その代わり、といってはなんですが……」

「む、なんじゃ」

「里の方々に、その獣を倒したのは私たち異国の者だとお伝え願えますか」

「ほう……抜け目がないのう。じゃが、たやすい御用じゃ。めったに里には下りんが、その節には伝えよう」

「では、引き受けました。何か、気を付けることなどはありますか」

「うむ。そうじゃな……これを渡しておこう」


弓精は、懐から長笛を取り出して、ララベルさんに渡した。木で細工された、シンプルなものだ。当たり前だが、SSLのホイッスルとは大きく異なる。


「これは、化け物を避ける笛ですか?」

「逆じゃ。それを吹けば、誘い出せる」

「う……なるほど」


ララベルさんは手に持っていた笛をジャヴさんに渡す。


「けっ、じじいの口の付けた笛なんて、うれしくもないぜ」


そういいつつ、ジャヴさんは無造作にズボンのポケットに突っ込んだ。


「こりゃ! わしの無聊を慰める、貴重な相棒じゃ。無下に扱うでない!」

「ふーん。それで、この笛はどこで吹けばいいんだ? ここで吹いたら、その化け物とやらが飛び掛かってくるのか?」

「……いや、ここよりも更に山奥へ進む道中に、もう一つ谷がある。そこの谷を進んだ先が、あやつの根城じゃ」

「あちらですか」


そう言って、皆が弓精の指し示す方向を見つめる。僕たちが来た道よりも、さらに奥へと進んだ場所だ。人は住んでいないだろう。


「その化け物は、正気を失っておる。笛を吹かなくても、人の気配がすればたちまち襲ってくるじゃろう。山の食べ物が減って、人里に降りてくる前に仕留めたい。頼んだぞ」

「わかりました。皆、行きましょう。ジュリアが先頭、ジャヴ、私、レイル君で進みます。志位さんたちは、殿をお願いします」

「承知」


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