表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アーツ・ホルダー  作者: 字理 四宵 
異国/アーツ審査
186/200

異国/アーツ審査 その12☆

浮き刀。いつの時代にできたアーツなのか、詳しいことはわからない。SSLの人間にも、知っている者とそうでない者に別れていた。

だが、剣聖は知っていた。剣の武人としては当然なのかもしれないが、明らかに何度か目撃したような態度だった。


これは仮設だが、おそらく、精霊同士である程度のアーツの共有ができているのではないか。そして、その説を通すのであれば、弓精も浮き刀を知っている可能性が高い。

もともと、この歩法はレベルの高い相手には通用しない。それは、わかっている。だが……僕の目的は、体勢を崩した後の一撃だ。


弓精は、脱力して構えたまま僕を待つ。僕への警戒を強めたのか、先程よりも眼光鋭く、集中しているのが見て取れる。

僕は突き出したナイフを少しずつ体に引きながら、距離を縮める。


「シッ!」


一気に歩を詰めると、ナイフを弓精の喉元めがけて突き出した。当たるとは、思っていない。今、この瞬間の本命は、足元のナイフを足の指で拾うことだ。

案の定、弓精は僕の攻撃を木の棒で払った。悟られないようにすり足でナイフを掴むと、そのまま股間を目指して突き上げる。

だが、


「カカカ、やはり、下かっ」

「……!?」


功を焦りすぎたのか、歩法に不自然なところがあったのか、弓精は僕のナイフを、紙一重のところでバックステップでかわした。剣聖に通用したパターンが、弓精に通じないとは、想定外だった。


(どうする……考えろ、考えろ……)


空振りの格好で、コンマ数秒。僕は必死に考えを巡らせた。

一瞬の後、僕はナイフを掴んでいない逆の足にマナを集中させた。

軸足ではあるが、片足での移動。それは、マナがあるから、できる技。

僕は、片足で地面を蹴ると、そのまま前転宙返りをして体を前方へ飛ばした。


「うおおっ」


先程バックステップをした弓精の両足が地面に着いた、その刹那。僕が足の指で握ったナイフが、頭上から襲いかかった。

足を伸ばして回転する剣戟は、普段の僕の攻撃のリーチを大幅に伸ばすものだった。


「!」


とっさに頭上をかばう弓精の腕を、僕のナイフが引き裂いた。


「ぐっ……」


苦痛は少ないと言っていた弓精から、苦悶の声が漏れる。

僕は片足で着地をすると、体勢が崩れたところを狙われないように、弓精目がけて持っているナイフを投げ、距離を取る。

見上げると、出血をした腕を抱える弓精がいた。投げたナイフは、なんとかかわしたようだった。


【名称】未定 

【発案者】レイル

【分類】技

【マナ使用部位】足

【難易度】やや難しい

【使用条件】裸足

【解説】足の指にマナを使い、ナイフを掴んで繰り出す技の集合。死角となりやすい足元からの攻撃や、ナイフを使う時にリーチを補うことができるのがメリット。相手の意識が上半身に集中しているときに使うと効果的。

ボディバランスとマナの制御が肝要で、特に足腰はマナだけでなく、素の筋力を鍛えないとうまく使いこなせない。難点は、裸足にならないと使えないこと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ