表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アーツ・ホルダー  作者: 字理 四宵 
異国/アーツ審査
184/200

異国/アーツ審査 その10☆

僕と弓精は、小屋の裏にある坂を登り、少し離れたところにある空き地に着いた。見通しのいい展望台のような場所には、丸太が一つ、無造作に転がっている。弓精が普段腰掛けているのかもしれない。


「それでは、来るがよい。獲物は、ナイフでいいのかの」

「はい。ですが……」


僕は、少しためらいを覚えた。剣の達人とわかっている剣精には、色々なことを心置き無く試せたのだが、目の前に立っている小さな老人に、ナイフを向けていいものなのだろうか、と思ったのだ。


「なに、伊達に長生きしておらんよ。遠慮はいらん。剣のやつほどではないが、多少は腕に覚えがあるからのう」

「では……いきます」


僕は靴を脱ぎ、ストレッチを始めた。それを、弓精は静かに見つめている。手には、黒い木の何かを持っている。昔は木刀だったのかもしれないが、長い年月の中で、棒としか言えないものになっていた。

遠慮はいらないという言葉通り、半身でリラックスした構えは、堂に入った隙のないものだった。


「ふう……」


僕は、深呼吸をして両手にナイフを握った。右半身を前に向け、右手のナイフは腰の高さでやや前に突き出し、左のナイフは顔の高さまであげて、投げの構えをとった。両足は肩幅の自然な位置に広げ、足にマナは使っていない。


「……」

「……」


僕と弓精の二人とも、その場を動かない。命の取り合いではないとはいえ、少しでも勝機を高めたかった。

じりじりと時間が過ぎていくが、僕も弓精も構えを解かずに

その時、裸足になった僕の足元から、追い風を感じた。タイミングを計って、足の指で砂埃を立てる。枯葉と砂が、弓精の方へと立ち上っていく。

その機を、利用することにした。


右手に持ったナイフを、左の肘で弾いて飛ばす。

この時、左手首は後ろに下がり、振りかぶった格好になる。

硬質な音と共に弓精へと飛んで行ったナイフに追随して、振りかぶっていた左手のナイフを投げる。さらに、右手はすでにベルトのナイフを掴んでいる。

1、2、そして少し離れて3のタイミングで、連続して投擲される三つのナイフが、弓精めがけて襲いかかる。


病院で刺客と戦った時に、苦し紛れに使った技。僕は入院中にそれを改良して、連続でナイフを飛ばすように組み立て直した。ろくに歩けない状態で、何万回ナイフを投げたかわからない。

これが、僕の第二のアーツだった。


【名称】未定 

【発案者】レイル

【分類】技

【マナ使用部位】腰

【難易度】やや難しい

【使用条件】特になし

【解説】肘を使ってナイフを相手に放ち、その後連続してナイフを投げる技。

第一投は、構えてから投げるという予備動作を抜かして投擲に入ることができるために、体勢を崩した相手にナイフを連投できる。

なるべく目的地点をばらけて攻撃することで、防御される可能性を下げる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ