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アーツ・ホルダー  作者: 字理 四宵 
第十五章 旅立ち
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旅の記録 -9

ララベルさん、ジュリアさんが先頭を切って志位さんのところへ合流しようとする。

そうはさせまいと、屈強な男達が立ちはだかる。


刃物ではない分、ララベルさんよりもジュリアさんの方が狙われやすいが、ジュリアさんはそれを次々に撃ち落としていく。突きをメインに組み立てられるジュリアさんの棍は、掴まれる隙なく、膝、顔、股間を砕いて、着実に相手を行動不能にしている。


一方のララベルさんも、慌てずに槍を繰り出して間合いに入れさせない。的確に急所を攻撃された男は、急速に意識を失って倒れる。足元に転がっている死体のうち、もがき苦しんでいるのがジュリアの仕業で、すぐにこと切れているのがララベルさんの仕業だ。


「少し進んだところに、森に挟まれた隘路がある。そこまで走れ! しんがりは、俺たちが努める!」

「助かります!」


ウさんの言葉に、ララベルさんは頷く。


「イアァァァッ!」


気合いを入れて、再び歩を踏み出す。

僕とジャヴさん、マックスさんは間合いを守りながらそれについていく。

前方の敵は、志位さんのグループと僕たちのグループに挟まれる形となり、次々に倒れていく。特に、少人数ながらも志位さんたちの活躍は目覚しい。

最後の一人のが、逃げ道を探してくるくると回っているところを、ジュリアさんとウさんが同時に潰した。ついに、僕たちは合流を果たす。


「よし!あっちです!」


僕たちは、サさんが示す方へと走り抜ける。僕も追って走る途中、志位さんと目が合う。

返り血一つついていない志位さんは、刀を担いでにこりと笑った。

僕たちが通り過ぎると、志位さんらも後を追って駆け出す。


「お前ら、絶対に逃すな!」


怪我をした腕を抱えた頭領は、大声で叫ぶ。先ほど見せていた余裕の表情は消え、顔は真っ赤になっている。


「引き際を、見失ってますね」


マックスさんが吐き捨てる。個々の戦闘力は、僕たちの方が上だ。包囲されていなければ、向こうにとっての被害が大きくなるのは避けられないはずだ。

だが、それゆえに破れかぶれになられると危険でもある。一筋縄ではいかないとわかった時点で、退却するのが理想のシナリオだったのだが……。


月明かりを頼りに、道を走る。松明を持っているのは盗賊団だけで、僕たちは最低限の物と武器しか持っていない。


最後尾を努める志位さん達が、僕たちに追いついた、足の速い盗賊達を個別に切って捨てている。

驚くのは、その方法だ。三人のうち、サさんだけが後ろ向きに走り、追撃を見張っている。

追っ手が追いつくと、志位さんとウさんが振り返って迎撃に当たる。

その間、どうやっているのか、無言である。全く、合図などをしているそぶりが見られない。

タイミングよく構えられる志位さんたちも見事だし、木の根や窪みなどの起伏のある道を、全く前を見ずに走るサさんにも謎が多い。


連携がいいというだけで、済むレベルではない気がする。

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