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アーツ・ホルダー  作者: 字理 四宵 
第十五章 旅立ち
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旅立ち -5

いよいよ、出発の日が来た。早朝にSSL前の広場に集合した僕たちは、私物と国から支給された荷物を並べて、各自に振り分ける。一か月程度の計画となっているので、荷物の点検も入念に行われる。

SSLと軍の人間も立ち合いに来て、あれこれと支給品の数をチェックしたりしている。


「お前らの馬、なんか荷物が多くないか」


ジャヴさんが、振り分けられた僕たちの荷物を見て驚きの声を上げる。


「ジャヴとマックスさんが重いから、比較的軽いレイル君と女子の馬にテントとかの重いものを載せるしかないのよ」

「なるほどなぁ……」

「人ごとみたいに言わないでよ。あんた、余計なもの入れてないでしょうね」

「へへ。そういえば知ってるか? 馬って昔より力持ちになったんだろ?」


都合が悪いのか、ジャヴさんは話題を変える。


「いつの話よ。昔はそんな話をしていたらしいけど、現代ではあまり影響ないみたいよ」

「馬が力持ちって、どういうことですか?」


荷物を整頓していた僕は、好奇心に耐え切れなくなって口をはさむ。


「昔の馬は力が弱いって、聞いたことないか?」

「初めて聞きました」

「俺も良く知らないけど、馬が運ぶ荷物の単位は、昔はもっと少なかったらしいぜ」

「へぇ……」

「んー、ちょっと違うんじゃないかな」


口をはさんだのは、ジュリアさんだ。旅をするのが好きだというジュリアさんは、見識を持っているようだ。


「どういうことだ?」

「正しくは、荷物が軽くなったってのが真相らしいよ」

「荷物が? ……よくわからんな」

「言った通りよ。馬が強くなったんじゃなくて、世の中の物の重さが変わったから、その分馬が多く曳けるようになったってこと」

「物の重さが変わるって……そんなことあり得るのか?」

「さぁねぇ。皆、生まれるずっと前のことだからねぇ」

「それって……『何もかもが変わった日』のことですか?」

「さすがレイル君、ご明察」


ジュリアさんが親指を上げると、一同が、歓声の声をあげる。


「確か、人間がマナを使えるようになったのも、その日からとか」

「へぇ、レイルも良く知ってるなぁ」

「以前、剣精に教わったことがあります」

「へぇ」

「頭もいいんだねぇ、レイル君」


マックスさんが、熱い視線を僕に浴びせる。なるべく見ないようにはするが、一応お辞儀だけはしておく。


「さぁ、歴史の話もいいけど、そろそろ行かなきゃね。初日でできるだけ距離を稼ぐんだから」


ララベルさんが手を叩いて、場を動かす。


「先頭は私が務めます。次にジャヴ。真ん中にレイル君を置いて、後ろにマックスさん。ジャヴとマックスさんは、臨機応変にレイル君の横についてください。ジュリアはしんがりをお願いね」

「はいよー」

「了解です」

「わかりました」

「うっし!」


「それではララベル隊、出発します」

「わかりました。旅程計画表とズレが大きくなってきた時は、なるべく現地の人間と連絡をとってください」

「はい」

「旅程計画表?」

「隊長は、そういうの出すんだよ」

「へー。大変なんだねぇ」

「……そう思うなら、なるべくトラブルを起こさないでね」


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