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アーツ・ホルダー  作者: 字理 四宵 
第十三章 東の剣士
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刺客 -1

「レイル君、ちょっといいかな」

「なんでしょうか」


その日、夜勤の引継ぎが終わったところで、ララベルさんに声をかけられた。いつになく、真面目な表情だ。


「レイル君、笛番から武器番になるつもりはある?」

「えっ」


武器番になるということは、ジャヴさんやララベルさんと同様の笛を持ち、積極的に前線で戦うということ。まだまだ僕には先のことだと思っていた。

僕はしばらく考え込んで、返答を喉にとどめた。


「いきなり言われても、混乱するよね。本当ならまだまだ先の話なんだけど・・・SSLの中で、そういう話が出ているの」


ララベルさんも僕と同じ考えだったようだ。


「武器番ということは・・・僕に、抜刀が許されるということですか」

「ええ」


といっても、やむを得なかったとはいえ、すでに僕は剣を抜いてしまっている。


「今更・・・と、思うかもしれないけど、現場での能動的な武装以外にも、武器番にはやることがあるのよ。まずはそこから説明するね」

「そうですね、お願いします」

「まず、武器番は基本的には抜刀が許されます。相手を行動不能にするかの判断も、一任されます。もちろん、責任は伴いますので、何をしてもいいわけではありません」

「・・・」

「当然、お給料は上がりますが、危険に接する機会も増えると思って。武器番は笛番に比べて、十倍以上怪我や死亡事故が起こるという統計があります。・・・下手をすると、入院ばっかりでお金が稼げないどころか、命を落とすことにもなりかねません」

「はい」


今のところ、予想を裏切ることは言われていない。


「笛番が吹いた笛の、状況解除は武器番じゃないとできません」

「状況解除・・・」


確かに、僕が吹いた笛をジャヴさんに解除してもらった記憶がある。


「つまり、それはその場が安全になったか、自分の考えで判断しなければいけないということ。仮に武器番が脅されて状況解除をしたら、大変なことになるのはわかるでしょう」


僕は静かに首肯する。当然あり得る話だし、僕が敵側でもそれを狙うかもしれないと考えたことはあった。


「他にも規則はあるけど、大まかなところは、こんな感じです。部隊長になれば、またすることは増えるけど、それはまたいつかね」

「わかりました。説明してもらって申し訳ないのですが・・・即答はできないので、少し考えさせてください」

「うん、そうして。正直に言うと、私は上司としても個人的にも、反対です」

「・・・どうしてでしょうか」

「レイル君は、剣精様のもとで、どんどん実力をつけているように見えます。ただし、現場での経験が多いとはいえません。戦闘の実力と、状況判断能力は別物だと思って。そのどちらが欠けても、武器番にはふさわしくない・・・と、私は思う」

「状況判断・・・」

「レイル君は頭がいいと思うし、時間の問題だとは思うけど・・・まだ、尚早だと思います」


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