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アーツ・ホルダー  作者: 字理 四宵 
第十三章 東の剣士
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東の剣士 -14

しばらく息吹の練習をすると、コツがつかめてきたのか失敗することもなくなってきた。ジャヴさんも、苦戦しながら身に着けているようだ。もともと力の強い人だから、この技を身につければ恩恵も大きいだろう。


「色々とありがとうございました」

「こちらこそ、恩を返せたのなら嬉しいよ」

「うむうむ」

「こら、ややこしくなったのは、若のせいだろう」


ウさんが、胸を張っている志位さんの腰を棒きれで軽く叩く。


「皆さんは、この街には、しばらく滞在されるんですか」

「ああ。アーツ・ホルダーになるという目的は果たしたが、せっかく田舎からやってきたんだ。少しぶらぶらさせてもらうよ」

「剣精にリベンジをしなくてはいけないですしね」

「そうだな」

「剣精に・・・マジかよ」


ジャヴさんは呆れたように言う。だが、志位さん、ウさん、サさんの目は真剣だ。


「自分で言うのもなんだが、あれほど格上の相手に戦える機会はそうないからな。しばらく作戦を練ってから、また挑みたい。貴重な経験だ」

「少なくとも、書類の発行まではこの辺りにいますよ」


書類の発行・・・そんなものがあるのか。僕はアーツ審査に内定?しているものの、受かったその後についてよく知らなかった。

そんなそぶりは見せないものの、彼らは名誉あるアーツ・ホルダーとなったのだ。国に帰れば、英雄扱いなのだろうか。


「そうだ、レイル。この辺でうまいもの教えてくれ」


唐突に、志位さんが目を輝かせていう。


「美味しいものですか・・・。僕もこの辺はそれほど詳しいわけじゃないんですよ。ジャヴさんの方が詳しいと思いますよ」

「えー、いやだレイルがいい」


即答だ。


「ふ・・・こんなちびっこには、俺様のスパイシーな魅力はわからないかな」


平然を装っているジャヴさんだが、額に青筋が見えている。


「ちびっことはなんだ! これでも僕は18だぞ!」

「えっそうなの・・・俺はてっきり、レイルと同い年くらいかそれより下かと・・・なぁ、レイル」


口には出さなかったが、僕もそう思っていた。ちなみに、僕が16(の設定の14)、ジャヴさんは21歳になる(ジャヴさんは僕の本当の年齢を知っている)。

志位さんは歯をギリギリと立てて、威嚇するような表情をする。この二人は、両方とも歯に衣着せぬ物言いなので、すぐに喧嘩になるような気がする。


「ま、まぁ、こちらの人間は若く見えるようですからね」


サさんが、それとなくフォローする。


「それにしたって・・・さすがにこいつは、あんたらの国でも幼く見える方だろう?」

「いや、まぁ・・・その・・・」


ジャヴさんは、そのフォローを台無しにする。サさんも、嘘は苦手のようだ。


「ギイイ!」

「うわ! 噛みついた!」

「若! 無作法です!」


後に、僕は彼らのアーツを目撃することになる。

命を燃やす強くて美しく、そして脆い技が、散らされるところも。

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