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アーツ・ホルダー  作者: 字理 四宵 
第十三章 東の剣士
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東の剣士 -7

「彼らの特徴か・・・そうだな」


剣精は額に手を当てて考え始める。


「まず、私にとっては東の国もこの国も、異国だ。つまり、君たちとは主観がずれる可能性がある」

「そうか・・・そうですね」


僕は首肯する。


「いいかな。まず、彼らと戦うにあたって、特徴的なものの一つに武器があげられる。カタナという名前のややカーブした細身の剣を使うのだが、この国の代表的なロングソードよりも丈夫でしなり、切れ味がある」

「でも・・・」

「ああ。察しの通り、今は入国かこの街に入るタイミングの際にカタナを預けているはずだから、その点についての心配は、とりあえずいらない」


剣精は、言葉をつなぐ。


「次に、東の国では、武芸を専門にする家に生まれた子は、幼い時から徹底的に剣を仕込まれる。したがって、名門の子はキャリアが長く、腕が立つ人間が多い。剣こそが名誉というお国柄なのだな」

「この国の貴族のようですね」

「似た部分もあるが・・・力の入れ方が、その比ではないな。単純に戦闘力が随分と違うはずだ」

「次に、フェアではないので詳細を省くが、精神状態を安定させるアーツを持っている」

「え・・・?」


僕は耳を疑った。アーツで、精神状態も操れるものなのか。


「向こうの国では一般的なアーツなので、よく観察すればわかるかもしれないな。隙があれば盗むといい」


剣精は平然と言ってのける。


「武器が強くて、子供のころから鍛えていて、精神状態もぶれにくいって・・・隙がないじゃないですか」

「いや、そんなことはない。彼らは体格が比較的小さく、力も強くない。欠点を補うために、マナを使ったり体術を駆使したりして、工夫を凝らしているんだ」

「欠点を補うために、マナを・・・」

「ああ。私や今のレイルとも共通する部分があるな」


剣精が「今の」とつけたのは、僕がまだ成長期のピークを迎えていないからだろう。


「私が過去に戦ったことのある東の国の剣士は十数人程度だが、概ね共通しているのは、今挙げたところかな」


さらりと出した数字が頼もしくもあり、恐ろしくもある。剣精は、一体どれほどの敵と戦ってきたのだろうか。


「ところで、アーツ試験は彼ら三人と行うんですか」

「ああ。申し込みは三人同時だったな。まぁ、基本的にどんな申し込みでも受けるようにしているが、どんなことになるやら」


1対3もありえるということか。相当に不利な状況になるかもしれないことを、人ごとのように話す。


「とりあえず、あんまり他所ばかりをみてもしょうがない。レイルはレイルで、きちんと研鑽を積むしかないぞ」

「う・・・はい」


僕は、焦る気持ちを見透かされたようで、少し恥ずかしくなる。


「あ、そうだ・・・すみません、もう一つだけ」

「ん?」

「こういうナイフを買ったんですけど・・・アーツに使えるかなと思って」


僕は、鞄から例のナイフを取り出して剣精に見せる。


「剣暗君のナイフか。・・・なるほど、足で使いやすい形態を考えたのか」

「はい」

「うん、いいんじゃないか・・・だけど、こだわるようなら、自分でデザインを考えて作成を依頼してはどうだ?」

「自分で、デザイン・・・?」

「ああ。既製品よりも確実に使いやすいものが手に入るんじゃないか」

「そんなことが・・・可能なんですか」


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