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圭一①

「あー疲れた」

「でも、楽しかったね」

「そうだな」


 部屋に戻るなり、私はベッドにごろりと転がった。平日の労働での疲れを発散させようと思っての行動だったが、全てを終えた今体の疲れは仕事以上に覆い被さってきた。

 人気のテーマパークは互いに有給を合わせて遊びに行ったにも関わらず平日でも非常に混み合っていて、一つのアトラクションに乗るのに最低一時間は要した。

 それでも満喫した一日だった。それに、明日も明後日もある。金曜日の有給からの土日という連休。今日まわれなかった所は明日まわればいい。もともとそういう予定だ。


「まだ明日もあるし、今日はもうゆったりだね」


 そう言って寝転がって天上を眺めていた私の視界に、圭一が上からおぶさってくる。


「まさか、もう寝ちゃうなんて言わないよね」


 そう言いながら圭一は私の髪を優しく撫でる。

 私はそんな彼の顔にそっと手をあてる。


 ふっと圭一は笑った。そしてそのまま顔を近付けた。

 彼と唇を合わせながら、私の心は満たされていく。幸せが流れ込んでくる。

 幸せと共に、胸の奥がぎゅっと締め付けられる。

 

 ――素直に幸せと思えたら、幸せなのにな。

 

 私は幸せを逃がさないように、圭一の背中に手を回し、ぎゅっと彼の身体を握った。




 自由で奔放だった大学生活は終わり、急に冷や水をかけられたような就職活動を経て、私は無事社会人としての生活を始めていた。中小企業の営業支援としての事務職は、初め分からない事だらけで戸惑い迷惑をかけたが、一年も経つとようやく仕事にも慣れ始めミスは減っていき、初めに比べればそつなく効率的に業務をこなせるようになっていた。


 仕事もあり、幸せもある。

 だが全てが順調というわけではない。やはり将来への不安はある。

 まだ社会人になりたてだが、先の事を考えるし、その度に不安になる。

 どこかで答えを出さなければならない。

 

 その時の事を考えると、不安で不安で仕方がない。

 少しでも長く幸せを。そして願わくば、ずっと幸せであり続けたい。

 日々の生活の中で悶々としたものを抱えながら、時間は過ぎていった。


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