表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
緑の丘の人魚姫  作者: はちがね
第1章 ラミィ、さらわれる
4/48

4.血鮫、決着

 再び襲い来る牙から必死に逃れながら、隙をうかがう。

「はぁ……はぁ……」

 血鮫のタフネスは凄まじく、何度突進を繰り返しても、勢いが衰えない。けど……

「ゴボッ……!?」

 何度目かの突進を繰り出そうとした時、血鮫の体が痙攣しだした。

「よし…効いたわ……」

 何をしたのかって?さっき、銛を壁に突き立てた時に、ドクドクウミウシを槍で刺しておいたのよ。

 ドクドクウミウシは体液を少し吸い込んだだけで、体が痺れて動かなくなる。ましてや、まるまる呑み込んでしこたま体液を飲んだら、全身の筋肉が異常緊張して、それだけで死にかねない。

 いや、ほんと、前に潰しちゃったときは大人と一緒だったから助かったけど、死ぬかと思ったわ。潰した時に出る体液だけでもああなんだから、呑み込んだら絶対に死ぬわ。

 血鮫は、麻痺で動けなくなりながらもまだ息がある。さすがは大型の魔物、すごいタフネス。

「ふんっ!」

 私は落ちていた銛を拾い上げ、軽くふるって、ウミウシの死体をとると、血鮫の目を刺して奥の脳を破壊して、止めを刺した。

「ふぅ、どーにかこーにか。」

 あわよくば、サメの皮でも回収して、何かに使えればと思ったけど、毒に侵されているから、触らないほうがいいかな。申し訳ないけど脇の部屋に放り込んで放置しておくことにしよう。

 でも、銛で引きずるには少々重すぎるわ……

「ええと、確か……」

 私の口から紡がれる旋律が、魔力を孕んで辺りの水に働きかける。

 血鮫の死体が、ふわりと浮き上がる。

「………ストリーム。」

 水が意思を持ったように流れて、血鮫の死体を部屋の中に流し込んだ。

 さて、大型の魔物もいたことだし、ちょっと注意深くいかないとダメかな?

 そういう訳で、警戒しながら進んだけれども。これ以降はあんまり手ごわい魔物はいなかった。精々さっきより小型のサメや肉食魚やタコ襲い掛かってくる程度。問題なく銛で突き殺せる。

 真珠が取れる大きな二枚貝、パールシェルもいたけど、襲い掛かってこないし、これはスルー。

 え?真珠は取らないのかって?だめだめ、固すぎて私の力じゃ殻を開けられないわ。これでも魔物だから、開くときにおとなしくしてくれるわけでもないし。ドクドクウミウシの毒は緊張性の麻痺毒だから、毒殺しても殻は開かないし。やるなら、集落の男衆総出で殻ごとお持ち帰りしないと。

 さて、どうやらさっきのブラックシャークがここの頂点だったみたいね。それ以外は危険度の少ないものばかりね。運がいいわ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ