1.集落
お久しぶりです。
以前は終着点を決めていなかったので、微妙な終わり方にしてしまいましたが、今回は海に帰るという終着点があるので、もう少しましになる、はず。
お付き合いいただければ嬉しいです。
「ラミィ。今日からまたお出かけ?」
朝ごはんを食べた後、魚の骨を捨てながら、荷物をまとめる私にお母さんは訊いてきた。
「うん、次はもっと遠くに行ってみるの。一週間ぐらいかな?」
「そう……あなたも好きねぇ。あちこち探検するのはいいけど、気を付けるのよ。」
お母さんは、ちょっとあきれながら、でも真剣に言った。
「確かに、私たちに敵意を持つ生き物は少ないけれど、全く安全っていう訳じゃあないのよ?」
「わかってるわよお母さん。行ってきまーす。」
いつものお小言を聞き流して、私は寝床を後にした。
「あ、ラミィ!またどっかいくのー?」
近所の女の子たちが手を振ってくる。
「そーだよー。今度はもっと遠くに行くんだー。」
「すごいねー、ラミちゃん。あちこち探検に行って、こないだも綺麗なアクセサリーなんかを持って帰ってきたし。」
集落のみんなは、自由気ままに生きてはいるけれど、あまり遠くに行ってみようという好奇心旺盛な人は多くないんだ。
対して私は、みんなが言うようにしょっちゅうあちこちに探検に行っては、いろんなものを集落に持って帰ってくる。あれでしょ?冒険者ってやつ。
「ねえねえ、真珠でアクセサリー作ったの。あなたにあげるわ。お守り代わりに。」
そういって、一人の友達がアクセサリーを差し出してきた。以前拾ってきた飾りの取れてしまっていた耳飾りに、真珠を付けたものだ。
「わぁ、綺麗。ありがとうアロア。大事にするわね。」
みんなに手を振って、別れた。
「ラミィちゃん。今朝とれた卵、おすそ分けよ。」
近所のおばちゃんが卵を分けてくれた。とても新鮮でおいしそう。
「わぁ、ありがとう、おばちゃん。」
「おんや?また探検かい?精が出るなぁ。」
「うん!いろんなものを見るのが、楽しくって。」
村はずれでも、お爺ちゃんに声をかけられた。
「おー、お前さんが探検好きになったのは……あれか、あの本を見た時からか。」
「そうそう、私も、あんなふうに冒険してみたいの。武器だって、ちゃあんと持ってるんだから。」
そういって、私は腰に下げていた銛を掲げて見せた。
「ふーむ……まぁ、外に興味を持つなとは言わんが、外の世界に興味を持った者は、たいていロクな目に合わんぞ?」
「もう、そんなの迷信でしょう?ラカンおじいちゃんまでお母さんみたいなこと言って。私は大丈夫だよー。」
そうして、私は集落の外へと進んだ。
「……やれやれ、とんだお転婆に育ったもんじゃ。」