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リースが奴隷を買った

 リースは一人で、奴隷商人の元を訪れた。


「お客様、毎度ありがとうございます。どのような奴隷をお探しでしょうか?」


「初めてなんで、よくわからないんです。いくつか見繕ってくれますか?」


「はい、もちろん! 少々お待ち下さい」


 カウンター裏に男が行くと、リースは表情を緩める。どんなのが来るかなあ。かわいいかなあ。と妄想を膨らませる。


 奴隷商人はというと、あどけない少女のリースを見て、筋肉ムキムキの男と、小綺麗な顔の男の二人を選んび出す。奴隷商人が扱う中では、どちらも高級。かなりの高額だが、実は、リースがかなり金を持っていることは、酒場で大盤振る舞いしていたから知っていたのだ。


 商人が戻ってくると、


「どちらもなかなかですよ、いかがでしょう!?」


 期待に目を見開いたリースの目に入ったのは、股間だけ隠している男二人。


「ぎゃああああ!」


 思わぬ精神攻撃に、リースはMPを大きく削られた。


「か、回復……MP回復……美少女をお願い……します」


「お、お気に召しませんでしたか!? も、申し訳ございません。すぐさま、美少女をご用意いたします!」


 男二人を連れて行き、代わりに一人の少女を連れてくる。長いブロンドの髪を携えた少女が現れる。

 

「どうでしょう! この美貌で、400イェン(100万円)! いかがでしょう!?」


「うおおおおおお! 買った! 買います!」


「美少女には、着飾れば着飾るほどに美しく光ります。オプションで宝飾品などつけてはみませんか!」


「つけます!」


 テンションが高まったリースは奴隷商人の言うがままに、宝石の付いた耳飾りや首飾り、貴金属でできた腕輪や足首につける輪を購入していく。オプションの総額は800イェン(200万円)にのぼった。ただし、本物かどうかは不明である。


 こんなに金遣いが荒くても、リースの所持金は6億9千万イェン以上残っている。というより全く減った気がしない。


 一目惚れのような衝動で、奴隷を購入したせいで、リースは奴隷の名前すら確認していなかった。支払いの段階で、奴隷の名前がユナであることを知った。


 ユナからしても、自分を買う人がどういう人なのか、見定める暇すらなく買われてしまった。でも後悔はしていない。ご主人様がブ男だったら自殺ものだが、運のいいことに可愛い少女であったからだ。とりあえず、まともな主人を得られたとユナは喜んだ。


「それじゃあ、ユナ。私が主人ということでよろしくね」


「はい、お願いします。あの、ご主人様のこと、どのようにお呼びすれば」


 ご主人様!!! リースにとって、美少女に言わせたい台詞ランキング・トップテンに入る言葉である。


「もちろん、『ご主人様』で! 主従の関係はちゃんとしなきゃね」


「はい、ご主人様」


 リースは、ご主人様と言われる度に感動をかみしめた。


 ユナがくすりと笑う。


「変なご主人様ですね。今まであたしを買いたいっていう人たちと違います」


「そ、そう?」


 リースは宿への帰り道で、奴隷商人の言っていたことを思い出す。舞い上がっていたのではっきり覚えていないのだが、大事なことが幾つかあった。まず、主人と奴隷の関係は、契約の魔法により定められているということだ。契約の内容として、奴隷は主人の命令を聞かなければいけない。逆らおうとすれば、精神的苦痛を伴うらしい。また、奴隷は主人を攻撃することはできないし、一定距離を離れることもできないのだそうだ。


 宿には、まだ神様は戻ってきていなかった。


 じゃあ、ユナと遊ぼー。


「肩凝ったから、肩揉んでー」


「はい、こんな感じでいいですか?」


 ユナの細い手が、肩に触れる。


「ああー、気持ちいい。背中の方もいい?」


 ベッドに横になる。ユナはベッドに腰掛けて体重をかけてリースの背中をマッサージする。


「んー、ちょっと弱いかな。足で踏んでー」


「あの、いいんですか?」


「うん、安心して踏んでいいよー」


「じゃあ」


 金のブロンドヘアの少女が、ベッドの上で少女をグリグリと足で踏む。


「次は、足の裏をー」


 グリグリ


「太ももー」


 グリグリ


「次は、こか、はっ! ゴホゴホ。えーと、お尻をー」


 お、お尻? グリグリ


「次は、頭ー」


「あ、あの、それはちょっと、さすがに」


 さすがに引いた。

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