スープハンバーグ5
「ふー、食べたねぇ。ほんと幸せなひと時だったよー。桜の料理を食べると、僕もまだまだ知らないことが多いんだなぁと思い知らされるよ。」
「いえ、私なんて全然ですよ。お父さんの料理を真似てるだけですもん。」
「いやいや、それを再現できてるんだから充分凄いって。どうだい?桜さえよかったら明日からの営業でも君の料理を何品か出してみるってのは?」
「うぇえ!そんなお客さんに出せるようなもの私に出せるかわかりませんし。」
まさかの提案に驚いた。店の手伝いと言っても仕込みや皿洗い程度に考えていたんだが、しかもあんなレベルの高い料理を出すディーンさんの店でなんて、不安しかない。
「大丈夫、味は僕が保証するよ。間違いなくお客さんは喜んでくれる。君の料理は人を幸せにできるよ!」
人を幸せにできる。
人生に絶望し、ただの生きる屍だった私にそんなことが。
ふと、昔お父さんから言われてた言葉が頭によぎる。
【桜の料理を食べると幸せな気持ちになるなぁ】
【うん私、食べた人みーんなが幸せになる料理人さんになるんだぁー。】
そうだ私は、昔誰かを幸せにできるような料理人になりたかったんだ。
大分遠回りをしてしまったけど、私は、、
頭の中はまだ整理がついていない。
それでも私は気づけば言葉を発していた。
「やらせて頂きます!」




