スープハンバーグ3
買い出しでは、明日から店を空ける為に必要な食材をかなり大量に購入した。
この量だと100人くらいの人がお腹いっぱいになるんじゃないかな。
肉や野菜、魚に果物等、買っている食べ物の種類の多さからもディーンさんの料理の腕や知識が高いことが分かる。
「明日は、久々のオープンだからね。きっとたくさんの人が来てくれると思うよ」
ディーンさんのそんな言葉から、やはり中々の繁盛店なのだと分かる。
そりゃあ、あのレベルの料理を提供していれば自然とお客さんはつくだろうなぁ。
しかし、一人でやっていくには料理のラインナップが多すぎることはないだろうか?
「ディーンさん、それだけの料理を今までは一人でやってんですか?」
「あぁ、僕も人間だから限界があるからね。今までは1日に5組限定で細々とやっていたんだよ。」
なるほど、数を増やせばどうしても料理の質を落とさなければならないが、自分の出来る範囲で全力を出すといったスタイルか。
なんともディーンさんらしいな。
だったらこれからは、私がディーンさんの力になれれば、もっとお客さんに入ってもらえるようになるはずだ。
そう考えると自然とやる気もみなぎってくる。
まずは、ハンバーグで、ディーンさんに認めてもらわなくちゃ!
私の足は自然とその速度を早めて店へと向かった。
「ちょ、桜?急にどうしたのー?」
そんなディーンさんの声も聞こえないくらいやる気に満ちた心になっていた。
結局買い出しは2時間ほどかかり、店に戻った時にはお腹も空いてきた。
「じゃあ、私はハンバーグを作ってきますね」
「うん、ありがとう。楽しみにしてるね」
若干のプレッシャーを感じながら私は厨房へと向かった。
今回作るハンバーグは、和風のスープハンバーグ。
スープには故郷の味である醤油と砂糖、ミリンに加え、牛骨ガラスープを足して『すき焼き風スープハンバーグ』を作る。
醤油、砂糖、ミリンで割り下を作り、牛骨ガラスープに少しずつ加えていく。
そのスープに入れる主役のハンバーグは、牛6豚4の割合のタネに、つなぎとして、すりおろしたお麩を使う。
流石にお麩はディーンさんの家にはおいてなかったので、買い出しのついでに東の食べ物がおいてある店で購入した。
あとはこれをオーブンで中までじっくり火を通す。
最後にスープをかけて、すき焼きにかかせない生卵の代わりに温泉卵を上に落として完成だ。