表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
extra etc. fetus-  作者: サイタマメーカ
対象、米崎稲峰。72時間
41/60

その後

 早朝、黒句轆轤と伍波百花はメンバー、葉月三鳥子の自室にいた。雑貨店などで貰えるようなくしゃくしゃになった紙袋を、葉月は黒句に手渡す。受け取った黒句は、微妙な顔をした。

「なにこれ」当然、黒句の口から出た言葉はそんなものだった。

「米崎稲峰の対抗策」対して、欠伸をしながら葉月が答えたのはそんな言葉だった。よくみれば、目の下に隈のようなものが出来ている。「一応、作ってはみた。一人分だけどね」

「なんか、言い方が手探り感満点なんだけど」

「満足なテストもしてないしね。調整としては、あと一日は欲しかったところだけど、それじゃたぶん、もう間に合わないだろうから」

 黒句は、組袋の中の物を覗く。伍波もそれを黒句の傍で覗き込んだ。

「あの、さ。昨日も言ってたけど、どうして俺なの? 適役なら他にいくらでもいると思うんだけど。金崎先輩とか特に」

「リーダー直々のご指名なのよん。なんだか知らねえけど、『渡すなら黒句くんじゃなきゃ駄目』ってさ。信用されてますねえ、黒句先輩」

 侮辱にしか感じない黒句だが、そこで、部屋の中に数あるモニターに、一つの人物を発見する。部屋に取り付けられた薄型のモニター、更に一つのモニターに九分割された映像の一つ。

「ねえ葉月ちゃん、この映像ってリアルタイムなやつ?」

「そうっすよ。なにか?」

 黒句は、モニターの一点に指をさす。そこには、昨日会った筈の少女が映り込んでいた。

「この子、円居ちゃんじゃない?」言われて、伍波が反応する。黒句の指が示す方のモニターに目を合わせる。確かに、そこには素朴ながらも十分に存在感を放っている少女が一人、スクランブルな交差点に立ち尽くしていた。その様子を黒句は視野に入れて、口を開く。「迷ってるなら、行ってあげて、紫蘭ちゃん」

 伍波は、前の名前を呼ばれたことに、若干の反応を見せる。

「ここからあの場所まで、そんなに時間はかからないはずだ。葉月ちゃんが趣味で持ってるバイク貸すから、それで行って来な」

 途端、慌てたように席から立ち上がる葉月だが、黒句は葉月の口をさし抑える。

「黒句さんは?」伍波が訊く。黒句は片手で持っていた紙袋を晒して見せる。

「別に。どうも変わらない。金崎先輩及び他のメンバーとお仕事に行くよ。米崎稲峰くんと決着を付けなきゃならないみたいだし。きみもきみで、自分のことに決着をつけるべきだ」

 黒句は、いつ葉月から抜き取ったのか、バイクのキーらしき物を伍波に投げる。伍波は、その銀のストラップが付いた鍵を、両手で受け止めた。

「バイクはホテルの地下にある。ストラップがバイクに反応して見つけられるようになってるから。行って。んで、振り向かないで」

 伍波百花は、黒句に深く頭を下げてから、部屋を後にした。

 そこには、思いっきり不機嫌な顔をした葉月と、それを無視している黒句が残された。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ