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学園夜業  作者: ヨネネ 
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【王、参上】〔1〕

【王、参上】〔1〕



月の光しか無い真っ黒な夜、都会の真ん中に立っている学園から静かに血の臭いが漂っている。


学園のグランドに横たわっている少女がいた。今は意識が無いみたいだ。


「うっ・・・・」


一人の女が目を覚ました。目を開けると回りは血で汚れていた。


「だいじょうぶ?」


一人の男の声が聞こえた。美声が脳で響いた。


「えっ・・・・?」


上を見上げると5人の男がいた。でも、顔が見えなかった。


「『無死』は追い払ったよ。もう家に帰りなよ」


髪の毛がぼさぼさの男が言った。


「は、はい・・・!」


女は急いで学園の門を開けて出て行った。


「で、どうしますか?」


髪が灰色の男の人が腕を組みながら言った。


「どうするもこうするも、いちお処理するしかないですよ」


不機嫌そうな男が言った。


「まぁ、我を忘れた人間を処理するのは、如何なものかと」


パソコンをいじっている男がのんきに言った。


「このままほっとくのも嫌だな」


と言うと〔それ〕を銃で撃った。そうすると砂のように消えていった。


「いくぞ」


その男の一言で5人の男たちは消えて行った。


空を見上げると満月だった。だが、学園から出てしまうと三日月だった。


不思議な事にさっきまで居た5人組みが居なくなっていた。まるで夜の学園が異次元のよう

に・・・。











「ふぁ・・・あ・・・」


眠たそうに目をこする、学園に向かう坂道を下っていく。少女が居た。髪の毛は長くも短くも

無い。


うう。ねむい・・・。昨日あんまり寝られなかったからなぁ・・・・。


あの頃のこと、思い出したからかな・・・?


小学校の頃・・・


ぶつかった男の人に急にキスをされたこと・・・・。




(もーなんで思い出すかな、こんなときにーー!!)


「おっはよー」


後ろからどつかれた。坂だから、上手くバランスを取れない・・・!


「うぉぉぉ・・・」


無理に体を戻そうとしたけど、やっぱり転んだ。



「いっ、ものすごく痛い!」


背中をこする。いたい。そして、膝もいたい。


「ごめん、ごめん。つい、力が入っちゃって・・・」


私は、杉本 彩埜。そしてこの子は、市ノ瀬 月世。空手部で結構腕はいいみたい。


「何そんなに力入れることしたの?」


私はゆっくり立ち上がり服についた土をほろった。


「いやさ、昨日張り切って夜の学園にいったのさ」


「えぇぇぇぇぇーーーー!!!」


私は朝からとてもうるさい声をあげ、月夜の肩を揺らした。


「な、な、な、なに言ってんの!?立ち入り禁止だって分かってるでしょ!!」


私は我を忘れ、月世の肩を強く揺すった。


「ははは、いやー。私の力で退治できるかって思ったら腕がなってさぁー!」


月夜の肩を揺らすのを止め、ため息をついた。


「はー・・・。んで、どうだった?」


「んー。やっぱ無理だった。VHに助けてもらわなかったら死んでたかもね」


そんな笑っているなんて。本当にある意味恐ろしいよ、月世!


「んで!VHの不義君!!めっちゃカッコイイ!!」


「え?誰それ」


「はぁ?うちのクラスの不義君だよ。知らなかった?」


「うん」


月世はため息をついて一呼吸置いた。そしてキッっと私の方を見て言った。


「決めた」


「え?何?」


「不義ファンになる」


「え!?」


「よし、正式に不義ファンになるわよ〜♪」


「はぁ・・・」


結構すごいんだな、うちの女子。


そんなこと聞いたこともないし、あることも知らない。でも、この頃周りの処で部屋が増えた

ことは知っていたけど・・・。まさかね・・・。


「ん。どした?」


「いや・・・」


てか、私って結構鈍いのかな?


「ほら、走るよ!」


「あ!まってーー」


この瞬間が一番私の中で一番、楽しいのかも・・・。


いつも、こんな風にいられるといいな・・・・。


と、思う。






学園




学園に入るのがとても大変だった。


ちょうど、VHの団体さんの登校時間だったのだった。


きゃーーーー!!とあちこちで叫び声が響いていた。


「きゃーー!空痲そらめさんーー!!」


「ちょっと、あなた!なれなれしいまねはよしなさい!空痲様と言いなさい!!」


うぉ!結構厳しい・・・。てか、やっぱりファンの方々の人たちだよね・・・。ここらへん全

部。


「あ!不義ふぎ君!!」


月世の足は速かった。もう一番前。特等席みたいだった。


「いやー、もっと早く不義君の魅力を知っておけばよかったー」


「ははは・・・」


まじ笑えない。てか、不義って誰よ。


「あれ?あの子って昨日の・・・」


茶色の髪でぼさぼさヘヤーの人。結構ワイルド系。


「ああ、危なく死にそうになった・・・」


小っこいメガネをかけている子。髪の毛は黒。ちょっとくせ毛が特徴の男の子。


「たしか、お前のクラスの子じゃなかったか?不義」


この人もメガネかけている人、結構背が高い。まぁこの人は知っている。だって会長だもん

な・・・。


「たぶん。俺あんまりクラスの奴、知らないっすよ」


あぁ、月世が言っていた、不義ってこいつか。左側がちょっと髪の毛で隠れててちょいワルっ

ぽい。あ、後ろの髪微妙にはねてる。


「ふふ、あおは学園の生徒の名前おぼえてるもんね。学年、学級も」


わー。とても綺麗な人・・・。はねているのか、それともくせ毛なのか分からないけ

ど・・・。結構紳士的の人なのかな?優しそう。


すると会長は、女子を掻き分けて月世の方に向かって、


「それで、市ノ瀬君。もう大丈夫かい?」


「え、あ。はい。昨日は有難う御座いました」


「いや、いいよ。大丈夫なら。もう馬鹿な真似はやめるように。いいね」


「はい」


「あと、学園の決まり事の処罰については、部活一週間休みだ」


「はい」


部活停止だけなのか。どんだけ、優しい処罰なんだろ・・・。もしすごく酷いのなら死刑・・

とか?


でも、それは犯罪か・・。普通は停学、あるいは学園追放!?(めぐるめくる妄想)


「ふむ。では」


くるッと会長が進もうとしたとき、急に大きい背中がなくなった。


はれ、ワープ?てか、大きい音が・・・。『ドサッ』って・・・。


そんな分けなかった。こけたのだった。


「・・・・・・・・・・」


一瞬時間が止まったようだった。


VHファンの女子たちも心配そうに見てる人と、驚いて声が出ない人、他・・・。


ゆっくり会長が立った。そしてメガネを直して、


「すまん、小石につまづいたのだ」


こ、小石って、小石でつまづくか・・・。アリでもよけるぞ、普通・・・。


「かっこいい・・・・」


なぜだろう。女子の目が逝っているように見えた。てか、隣で『カッコイイ』って・・・。


ははは・・・。なんて言うのかな・・・。


こういうのが格好良いのかは、私には分からない。てか、分かりたくない。


「ちょっといいかしら?」


後ろから強烈な怒り声がぁ・・・・。


「あなた、夜の学園に入ったようね。いい度胸してるじゃない」


「誰ですか?貴方がた」


月世、ちょっと声怖いぞ・・・。そういえば、前の学校では『怖い顔の月世』って言われてた

みたい・・・。自分がつけたけど・・・。


てか、うおぉ、5人いるぞ・・・。リボンでわかるけど、この人たち3年生だ・・・。


「私たちは『VHファン同盟』の会長の石原 美千代 担当、黒地くろじ あお様」


「同じく副、清水 冷架 担当、疏寺そじ 空痲そらめ様」


「同じく、野々村 利久 担当、知散ちばら はじめ様」


「同じく、蔵乃 梨浬 担当、荒口あらぐち 桂絽けいろ様」


「同じく、瀬野 市 担当、甥破おいは 不義ふぎ様」


なんだか、さらりと名乗られたけど、一瞬で忘れたよ。


てか、一人ひとりポーズ決めてんなおい・・・。


「夜の学園に入るなんて言語道断!!つまりVHを見る抜け駆けをしようとしたと言うこと!私

の蒼様を見ようなんて!」


Vファン(VHファン)の会長さんそのキラキラした髪どうにかならないかな・・・。


「そうよ!空痲様の華麗な戦いを見ようなんて!」


この人もすごいな・・。


「一様のクールな戦いを・・・盗もうなんて!」


もしかして、これって一人ひとり台詞があるのかな・・・。


「桂絽様の頭脳を使った計算を利用しようなんて!」


あぁ。やっぱり皆さん有るようで・・・。


「不義様の血を振るわせるような戦いを!」


見たことあるのかい!?


「ゆるせない!!」


うわぁ・・・。最後は、皆で決めたよ・・・。これが先輩??


私が思い描いていた先輩とはかけ離れてるな・・・。とほほ・・・。


「――――で?」


「・・・・で?ですってぇぇぇ!!な、何この子!!自分のした事分からないの!!?」


「罪ですわ!」


「ゆるせまんわ!」


「ムカつきますわ!」


「いい気になりすぎですわ!」


最後に『わ』っていらないような・・・。てか、ちょっと耳痛い・・・。


「私はそんな貴方たちが思っていることしようなんて思っていませんよ。先輩」


月世がちょっと見下ししたような声で言った。


「その態度、ムカつきますわね!!」


会長さんの手が月世の頬に当てようとした。


「な!!」


とっさに私は止めようとしたげど、間に合わない・・・。




やめて!!




ふと思うと、前に風と共に大きい背中が現れた。


「ふ、不義様!!」


「え・・・・?」


思わず顔を上げると大きい背中が私の目の前にあった。


一瞬だった。一瞬に出てきて会長さんの手をつかんでいた。いつのまに・・・。


「すみませんが、五月蝿いですよ、静かにしてください」


「す、すみません!只今立ち去ります」


と言って、さっさと去ってしまった。早いな。


「お前は先輩に言葉を慎め」


「う、うん」


月世にそう言うと立ち去ろうとした。


一瞬だけ不義君と目が合った。あ、赤い目。


少し、怖かった・・・。


「ねぇ、不義君かっこいいでしょ?」


「怖かった」


「え?」


「う、ううん!!なんでもないよ!早く行こ!」


私は月世の手を引いて学園に向かった。


少しの不安を胸に・・・。








放課後


「うーーーん」


結構勉強で机に向かっていると体が痛くてこまるなー。


「あれ?月世もう帰るの?」


「うん、あれだから」


「あ、そっか、休部」


「うん、じゃぁね」


そう言うと、月世はドアを開けて帰っていった。


「よし、私は部活に行こうかな」


そう言うと教室から出て行った。それを見ていた、不義だった。






部活


「先輩、どうすれば的にあたるんですか?」


後輩の声が聞こえた。


「えっとね、集中もいるけど気軽に、心を無にして撃てば上手く良くと思うよ」


「そうなんですか!有難う御座います」


私は弓道部。結構面倒見のいい先輩といわれている。と言う噂。


「きゃー!空痲様よ。綺麗ねー」


「華麗だわ・・・」


あの人って弓道部だっけ?だったけ?てか、あの人、空痲って言うんだ。初めて知った。


「よっ」


「わっ、圭介!」


肩を急に叩かれてドッキリした・・・。


「おいおい、そんなに驚くなよな」


「急に肩叩くからでしょ!あと、柔道はどうしたのよ」


「早めに終わらせたんだ」


「そうなんだ、結構強いって言う、うわさがあるらしいよ?そんなにすごいの?圭介」


「まぁ、な。先輩方には言われるよ」


「へー」


すごいな、圭介って・・・。


「おい、圭介!お前ら付き合ってんのか!?」


「ち、ちげーよ!」


「へぇーー」


なぜそうなるの?うちの男子ってこう言うの好きそう。


「ご、ごめんな・・・」


「?、なんで謝るの?」


「い、いや・・・」


なんだか気まずい・・・。かも。


「あぁ、俺もう行くわ、んじゃ」


「うん。またね」


そうだ、もうちょっと真ん中を意識して撃ってみよう。


意識を無に、心を無に、そして一点に集中・・・。


それはど真ん中に命中した。自分でもビックリ。


ワッっと歓声が聞こえた。


「先輩すごいですね」


「有難う」


「やっぱり、あんたの集中力はすごいね」


「有難う御座います、先輩」


後ろで小さな拍手が聞こえた。後ろを向いたら空痲が拍手をしていた。


「すごいね。君」


「あ、有難う御座います」


「やっぱり、蒼が言っていた通りだね」


「え?」


会長が言っていた?何を?


「あ、いや。なんでもないよ。それじゃ、頑張ってね」


ニコっと笑って、手を振りながら部室の方に戻っていった。


「いいなぁー。空痲様に声駆けてくれて」


「え?」


いや、本人は嬉しいより、ビックリが大きいのですが・・・。


「あぁ!!もう、こんな時間だ。私帰るね」


「うん。じゃぁねー」


「うん」


ふー、今日は色々あって大変だったなー・・・。


「ん?」


て、がみ?



『時は来た。今すぐお前を迎えにゆく』



・・・・・・・。


いたずら?か?


「まぁ、帰ろ」




あ、VH同盟の人たち、声だしの練習してる。


「L・O・V・E 蒼様! 空痲様! 知散様! 荒口様! 甥破様!!」


・・・・。聞かなかったことにしよ・・・。


・・・・あ。


「おう、遅かったな」


そこに日慈がいた。


校門の側で待っていたと思う・・・。てか、誰を??


「どうしたの?誰か待ってんの?さては、彼女かな?」


「ち、ちげーよ!お前を待ってたんだよ」


ちょっと図星っぽいのですが・・・。


「なぜ?」


「わかんねーけど、なんか、一緒に帰りたかったんだよ。だめか?」


「ううん。いいよ、帰ろう?」


「あぁ」






だんだん日が暮れていく・・・。


「こうやって帰るのって久しぶりだね」


そう、こうやって帰るのは小さい頃公園で遊んで帰る時以来だった。


「そうだな・・・」


「うん。今日ねVH初めて知ったの」


「おいおい、あれはある意味アイドル集団なのに知らなかったのかよ」


「うん」


「まぁ、お前。そういうの、興味なさそうだな」


「まぁね」


「ほめてねーよ」


「へへ・・・」


懐かしい、圭介とこんなに話すの。


「ねぇ、圭介」


「あ?」


「これ見てよ」


私は下駄箱に入っていた紙切れをポケットから取り出し、圭介に見せた。


「何だこれ」


「下駄箱に入っていたの」


あれ、無口になった。


「・・・・・。これ、意味わかんねーな」


「うん」


「てか、『今すぐ迎えにゆく』って」


「わかんない」


「よな」


「・・・・・・・」


でも、これって本当に嫌がらせかな?私そういうのに鈍いからなぁ・・・;


「今日は家まで送っていく。いいだろ」


「うん。よろしくね!ボディーガードさん♪」


何でだろう。なんか嫌な予感がしてくるの・・・。




「あ。電車」


「ここらへん、電車通り多いから気お付けろよ」


「はいはい、あ、渡ろう」


「あぁ」


歩きだした。




少し歩くとチョークで円が書かれていた。たぶん『ケンケン』をしていたのだろうと思った。


「ねぇ。カバン持ってて?」


「いいけど、どうした?」


「ふふ〜ん。久しぶりにケンケンしようかなっと思って」


「はぁ?お前は子供か??」


「いいじゃん、子供でも。私は永遠の17歳〜♪」


本当に久しぶりだな・・・。よし、ケン・ケン・パー・ケン・パー・ケン・・・・・。


「もういいかー?」


「あとちょっと〜」


ケン・パー・ケンケンケ・・・・・。


途中に大きい体が待っていた。


「いた!!」


鼻が・・・痛い・・・。あ、謝んないと・・・。


「ご、ごめんな・・・・さ」


上を向くと黒い服で覆われている男の人が見えた。目がとても赤い。


「お前が、彩埜か?」


「そうですけど・・・」


「迎えに来たぞ」


その声に身体中震えた。


「・・・ほ・・へ?・・・」


「彩埜!!」


ぐいっと圭介が、私の手首をひっぱった。


「圭介・・・!」


私たちは走った。沢山走った。あの人が見えなくなるまで・・・・。






私たちは公園、昔遊んでいた時のところまで走ってきた。


「はぁ、はぁ」


「大丈夫か?彩埜」


「う、うん」


「あいつだったのか?あの手紙」


「わ、わかんない。でも・・・・」


「でも?」


「とても、怖かった」


「彩埜・・・・」


でも、あの震えは、怖かったんじゃ・・・。


「見つけたぞ」


「!!」


後ろを見るとあの人がいた。


「そんななんでこんなはや・・・・く!」


一瞬で分からなかった。圭介が一瞬にして砂場の方に飛ばされた。


「圭介!!!」


「うぅ・・・」


生きている。ホッとした。でも背中を強く打ったみたいだった。


「あなた!なんてことするの!!」


「・・・・・」


「なんとか言いなさ・・・・ん!!」


急に頭を押さえ、引きつけてキスをした。


「んんぁ・・」


離せない!苦しい・・・。こんなキス、いや!


『思い出した?』


・・・?何を?


『あのときのキス』


あ。


思い出した。




あの時のキスはこの人としたんだ。






そうだ、この人だ。






「この・・・・」


「ん?」


「ヤロォぉぉ!!」


すごいスピードで相手の頬を殴った。すっきりした。


「いたーい!!!何するんだ!!君!」


「こっちの台詞よ!圭介を吹っ飛ばして、急にキスする相手を殴らない人は居ないわよ!!」


「ふ、覚えていたか、私の熱いキスを・・・」


相手は口の横を親指で拭くと立ち上がった。


「んー、まぁ、初めてのキスだったからねー。女の子は絶対に忘れられないよ」


「それじゃぁ、もう一回するか?」


「うせろ」


技を掛けようとしようとしたら、


「ううぅ・・・」


「圭介!」


危なかった、忘れるところだった。


「大丈夫?」


「あぁ・・・」


圭介がハッとした表情で立ち上がった。


「あ、あの変態は!?」


「ここ」


アイドル立ちで手を振っていた。


そこで圭介のキックが入った。顔にめり込んでるよ・・・。


「いたいなぁ・・・(´д`;)」


「吹っ飛ばしたお返しだぁ!このやろう!」


「まぁまぁ、圭介・・・。ある意味この人、害は無さそうだよ?」


まぁ、最初は微々たけど、ね。


でも、不思議にこの人、傷、いつのまにか治ってる。


「まぁ、なんか結構匂いがだんだん出てきたな。彩埜よ」


「は?」


に、臭い?そんなに私くさい?


「私は、あそこの学園に用があるのだよ」


だから、どうした。


「一緒にゆこう」


は・・・・?


「ごめん、なんだって?」


私は耳の後ろ側に手をのせ、背伸びをした。


「だから、あそこの学園にゆこう。一緒に。そこの邪魔は抜いて」


指を指した方は、圭介を指していた。


「おい、何で俺が邪魔になってるんだ」


「あぁ、居たのか。雑草君」


手で望遠鏡を作っていた。何か変態に見える。まぁ、もう変態になっていると思うけ

ど・・・。


「人をウザイように言うな」


ちょっと遠くで見たら漫才みたい。


「で、お前誰だ?」


「ん?私か?私は彩埜の彼氏」


「・・・・・・」


私達は呆然と変態を見ていた。


「じゃなくて、」


思ったより受けなかったんだ。てか受けないよ。悪い夢じゃ無かったらね。


「私は血夜牙と言う者だよ」


「まぁ、キモイ名前だな」


あ、結構傷ついたみたい・・・。土いじってるよ・・・。


「うう、まぁ、いい」


いいのかよ。


「本当は確かめたい事があったのだよ、あの学園の秘密を」


「秘密・・・?」


学園には、財宝が眠っているとか?かな?


「聞きたい?」


ブランコに座ってこいでいる。似合わない。てか、早いな・・・移動。


「うん」


「んじゃ、キスを求めるぞ」


圭介が気合をためていた。


「いや〜、こう言うとどうなるか見てみたかったのだよ。本当に」


ニコって笑った。その笑顔はとても輝いていた。






「私たちバンパイアに必要なものがあるらしい」


「てか、バンパイアだったんだ」


二人して同じことを言った。


「おや?言っていなかったかな?」


言ってねー・・・。


「ふむ、私は、吸血鬼」


「そう単刀直入に言われると気持ち悪い」


圭介は結構、血夜牙のことは気に入らないみたいだな・・・。


まぁ、『おら、ゴクウ!』みたいな、感じでね・・・。


「なんで、彩埜を襲ったんだ?それが一番の疑問だ」


「うーんとね。君は吸血鬼の好きな匂いを持っているんだ」


「何それ?」


「うーん。なんて言うのかな?まぁ、吸血鬼を魅了する匂い」


「普通の人間には?」


二人は顔を難しくしている。


「普通の人間はそう感じない。まぁ、普通の匂いかな?」


血夜牙は両手をヒラヒラさせた。


「へぇ、お前そんな臭い出していたのか?」


「出したくて出てんじゃないよ・・・」


あぁ、なんかこんな話で結構暗くなっちゃった・・・。


「それじゃぁ、行ってみるとするか、学園に」


血夜牙はブランコをこぎ、良いタイミングでブランコから下りた。


私はとっさに、


「行かない」


「どうしてだ?」


血夜牙は不思議そうに私の方を見た。


「だって、校則。学園に行ったら怒られちゃう」


そう言うと血夜牙は私をヒョイっと上げて(お姫様だっこ)歩き出した。


「ちょっと!これある意味、無理やりよ!」


「大丈夫だ、我が絶対に何があっても守ってみせるぞ?」


な、急にそんな・・・・。マンガみたいなことさらりと・・・・!!


「それで、雑草君。君は行くのかね?」


まだその名前かい。


「あたりまえだろ!彩埜をほっておけないからな!!」


「子供みたいにいわないで・・・」


まじめに顔から火が出そう・・・。








学園        校門前




私は、血夜牙から下ろしてもらい、学園の校門まで歩いていった。


「やっぱり、閉じてるね」


校門の柵の最長を見ようとするけど、首が痛い。まじめに大きいな・・・。こりゃ。


「あぁ」


当たり前のように、圭介が言った。


「久しぶりだ、ココに来るのは」


血夜牙も校門を見ていった。とても懐かしいような目をしながら・・・。


「え?来たことあるの?」


「ふむ、内緒だ」


私の顔に向かって、可愛い笑い顔した。帰ろう・・・と。


「あー!すまん!すまん!うそ、うそだぞ!教えるから早く帰ってこい!」


まじめに顔と中身、どっかで誰かと入れ替えたのかと思うよ・・・。


「我は、ココで生まれたのだ」


自慢げに腕を組んで言った。


「へー」


私は学園を見ながら言った。


「ふむ。あまりリアクションがないな・・・」


ガッカリしたように言った。そこまで落ち込むなよ・・・。子犬みたいな人だな・・。


「そ、そう?」


「ふむ・・、まぁ、いいか。早く入ろうか」


そういうと、血夜牙は私をまたヒョイと上げて高く飛んだ。


「わぁ!」


あの高い校門の柵を、いとも簡単に飛び上がって、飛び越えた・・・。


さすがバンパイア・・・。


「どうだ?」


血夜牙は誇らしげに笑った。


「もう一回!」


私は目を輝かせながら、言った。だって、こんなのどこの遊園地行っても無いもの・・!


「すまんな、また今度。ゆっくり二人で・・・」


「おい。こら」


圭介の方を見ると門の外にいた。すごい目をして見ていた。


ライオンが獲物見つけたような目になっている。


「どうした?入らないのか?」


血夜牙が、不思議そうにいった。


「入れない、のだが?」


圭介、すごい顔になってるよ??


「なんだ、雑草。お前は、地をもぐってこないのかね?」


あ、君づけで呼ばなくなった。ランク下がったみたい・・・。


「そういうのは、モグラだ。しかも俺は雑草でもない!圭介だ!!」


柵の鉄を力いっぱいに握っていた。この勢いで鉄が変形しそうな感じ。


どこの超人?


「ふむ、圭君」


「その呼び名はある意味小学校で流行った『あだな』だ・・・」


「圭君」


「殺すぞ」




なんとか学園の中に入れた。後ろの二人はもめているけど・・・。


よっぽど、血夜牙にお姫様抱っこされたことにムカついてるのかな?


でも、あれは、あれで絵になるけど・・・。BLのほうで・・・。


「ちょっと二人とも、ココからは静かにしないと見つかっちゃうよ」


「大丈夫だ、そんなときは私が助けやる」


「いちおう、俺も助けろよな」


圭介、まだ機嫌が悪いみたい・・・。


「・・・・・」


なんだろ。いつもの学園じゃなさそうな・・・・。感じ。


「どうしたのだ、彩埜」


後ろから血夜牙の声が聞こえた。


「うん、結構。朝の学園の臭いよりちょっと」


なんて言うのかな?この鉄の臭い・・・。


「血の臭いが多いか?」


急に後ろで声がした。


「だ、誰!?」


この三人以外の声が聞こえて恐怖が全身を覆った。


「いいにおいがすると思ったら、女か。このごろ女が多いな」


よく見ると、うちの制服を着ている。男の子。そして2年生の人、そして同じクラスの・・・。


「飯田君・・・」


クラスでは、あまり影が薄い人。でも皆に優しい男の子。


「やぁ、杉本。お前いいにおいだな。おいしそう」


「・・・・!!・・・」


怖い、目が・・・赤い・・・。もしかして・・・バンパイア・・・?


そんなわけ、そんなわけ・・・ない。・・・・よね?


「飯田君。どうして?」


「ん?なんか、学校帰りに『無死』に襲われちゃって、んでこうなったわけ」


「そんな・・・うそ・・!」


「俺もだよ、こんな風になったのは嫌だった。でも、お前の臭いを嗅ぐと、いい気持ちになる

んだ・・・。なんだろ・・・。この気持ち・・・。お前が欲しいと俺の頭をよぎるんだ

よ・・・。なぁ、彩埜。お前が欲しい。欲しい。欲しい。欲しい。欲しい欲しい欲しい欲し

い・・・・・欲しい!!!!!」


「・・・!!」


どうして?なんで?優しい飯田君が壊れて逝く・・・。私の知っている飯田君が・・・。


そう考えていると、飯田君が消えたと思ったら私のうしろにいた。


「え・・・?」


「いいだろ?少しくら・・・・」


ヒュッ・・・・!


後ろで音がした。後ろを見ると飯田君が倒れていた。


「ふむ、私の目の前でそんなことして良いと思ったか。この下僕が」


「なんだ!お前!」


血夜牙が私に近づいて頭をつかんで血夜牙の方に近づけた。


「私か?私は、彩埜の主。彼女と契約を交わした者」


いつ?いつそうなったの?ねぇ・・・?


「なにぃ!お前も『無死』ならそいつの臭い感じるだろ!なぁ!」


「ふむ、感じるな。いい感じに」


私は血夜牙の方を恐る恐る見た。いつもと同じ血夜牙の顔だった。


「だろぉ?なぁ、そんなら一緒に・・・」


飯田君が血夜牙を誘うように手招きをした。でも、血夜牙は私の肩を触って近くに寄せた。


「もう、彼女は私のものだ、誰にも渡さない。そして誰か彼女を食べようとしたら」


血夜牙の手に力が入ったのが分かった。


「そうしたら?」


「跡形なく、生まれたことを後悔してやろうかな?」


血夜牙のその言葉は一つ一つ本当に聞こえた。でも、最後の言葉はちゃらちゃらしてるように

聞こえた。


「へ、へへ。そんな脅し聞くか!そんなの誰が決めた!」


少し動揺したように飯田君が言った。


「私だ、この私が決めた」


だんだん、性格が分かんなくなってきた・・・・。


「ふ、ふん!俺は不死身の『無死』だ!簡単に殺せない!」


「ふむ、やってみるか?下種よ」


「やってやろうじゃ・・・・ガァァァッッ!!」


急にその言葉が切れた。


「なんで・・だ?俺は不死身じゃぁ・・・ないの・・・か??」


一瞬にして砂となって消えた。


「な、何が起きたの・・・?」


私はちょっと動揺していた。同じクラスの男子が砂となって消えたのが。




「今度は、3人か。めんどな」




足音が聞こえてきた。


「まぁ、何もなくてよかったね」


「何もって、今、現在進行形で起きているんですよ」


「まぁ、一人は女の子だけどね」


VHの人たちだと一瞬で分かった。ここを守っているのはVHしかいないのだから・・・。


「さて、どうしようかな?」


あ、ワイルド系の一さん。


「ん?君は確か今日、あの女の子と一緒にいた・・・・」


あ、空痲さん。


「杉本 彩埜さん」


あ、会長さん。



「どうして、不義さんのクラスの人が多いんですかね」


あ、メガネ君。


「知らねーよ」


あ、不義君。


「あの、すみません!この人にさらわれてココまで来てしまったんです!!」


必死だよ、圭介君。


でも、普通に無いよ。そんな話・・・。絶対にありえない。


「うわ!可愛い男の子!」


一さんが思わす桂絽君のメガネを取った。


「あ、そうだった。一さん、可愛い男の子スキでしたっけ?」


桂絽君がすぐに一さんからメガネを取り返していった。


「スキって言うより、抱きつきたいって言うか、犬っていうか!」


一さん。貴方と変わらないくらいの背ですよ。これが腐女子が好きなBLですか?


「どうしたんですか?」


VHの後ろからとても爽やかな声が聞こえた。


よく、学園朝会でよく聞く声だった。そうだ、この声・・・。


「あらら、今日はいつもより、めんどいですねー」


「先生」


あれ?あの先生って、たしか・・・・。


「野呂先生!」圭介が言った。


たしかそんな名前だったようだったような・・・。


「あの、これは・・・その・・・!」


すごく動揺している。まぁ、無理もないか・・・。


「どうします?先生。記憶を処理しますか?」


蒼が私たちの方を向きながら言った。あれ?メガネしてないな・・・・。


「うーん。そっちの方が手っ取り早いですが・・・。一人、見知らぬ人が混じっているのが気

がかりですが・・・」


「ふむ!私を知らないと!?」


知るわけないじゃないの、てか、本当に血夜牙って・・・。


「うん。見たこと無い顔だね?どこの人?」


先生が小学生レベルみたいに『どこに住んでいるのかなぁ』みたいな感じに聞こえるのは私だ

け?


「ふむ、聞いて驚くな。私は・・・」


皆時が止まったように固まった。






「私は、吸血鬼の王の中の王。血夜牙だ」






本当に時が止まったようだった。









ほとんど趣味で書いております。そこのところを宜しくお願いします_/\○_   ε=\_○ノ イヤッホーゥ

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