我でも現実逃避したい・・・
遅くなりました、一週間に三度更新できたら良い方なのでよろしくお願いします
第一章 生誕
第三話 我でも現実逃避したい・・・
またユークは肉体の浮遊感を感じ目を開けた。
ここは、どこだ?言葉を発したつもりであったが言葉が声がでなかった。
何故だ?疑問に思い考えていると突如自分の上から声が降ってきた。
「おお、アナーシャよ我が子が口を動かしたぞ」興奮したおっさんの声が聞こえた。
「そのようですね、あなた」慈愛満ち溢れる聞いていて気分の良くなる女の声が聞こえた。
ん?男とあんなに差があるんだって?当たり前じゃないか女は世界の宝だ!
とまあ現実逃避もここまでにしておこう。今、無駄にでかい巨人族{ティタン}かと思う程の大きさのおっさんに抱きかかえられていた、その腕から抜け出そうと覇力を込めてみたが体に全く力が入らず、我も少々困惑し・・・いや待て冷静にならなくてはと思い目チラっと動かした、見えた!
柔らかそうなプクっとした手、マルマルスベスベしてそうな足
うむ、赤ん坊の体じゃな・・・・
おお、そういえばあやつらは元気でやっとるかどうだろうな?等と思いながら懐かしんでいたら
「おや、眠そうだな」おっさんの声が聞こえた。確かに言われてみたら眠くなってきたぞ・・・・・眠るか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・じゃない!
まあ、確かに眠いが今の我は赤ん坊になったと言うことか・・・そういえばあの黒いのが転生とやら言っておったなあ、まあ今は眠いからまた明日考えようと重い瞼に負け目を閉じ眠りについた。
パッと目が開いた、黒く何もない空間だった。世界を黒で塗りつぶしたらこうなるだろうと思わせるような空間だ。
「ここはどこじゃ?うむこの感覚からいくと夢の中といった所かのう?」
「その通りだ、覇王、否、今は覇王だったものか」その黒い空間から突如白いナニカが球体の様なものが現れた。
「おぬしは誰じゃ、前のあの白い人型のものの気がするが」
「その通りだ、私は神の宝物庫の番人のモースだ」
「神とは誰じゃ?前の黒のも神と言っていたが」だが、敵対していたような気がしたが・・・
「あいつはもう神ではない!あの裏切り者は邪なモノへと成り下がった!・・すまない、少々取り乱してしまった。」
「気にするな、それで何故おぬしは我の夢の中へと入ってきたのじゃ?」
「あなたが転生し、しかも記憶と精神も残っている事についてだ」
「ほう、我はやはり転生していたのじゃな」スッと目を細めた。
「はい、転生は誰もがすることなのでそちらはいいのだが、問題は前世の記憶と精神があるということだ。記憶と精神は人を人として成り立たせているん者だ、その二つが残っているということは転生ではなく正確には転移という形になるのだ。生と死を管理する者達の間では人を転移させるのは禁忌{タブー}とされていてな、へたに転移されるとその時代がおかしくなりうるその可能性があるからだ。あなたは正確には転移という形になっているのでどうにかしたかったのだが・・・」
「どうしたのじゃ」
「あの裏切りものが宝物庫から封印された神具を持ち出したおかげでなおまえに一切干渉できなくなったんだ」
「むっ、なぜ今は我の夢の中へ入ってこれるのじゃ?」干渉できないと言っておきながら夢の中へ入って来ているのはおかしな話だ。
「ああ、これは神具の力だ、夢魔の神より借り受けたものだ、神具に対抗できるのは神具という訳なんだ」
「なるほど、ではその神具とやらで我を輪廻転生の環へ戻す事はできぬのか?」
「転生もとい転移の神具の中ではあれが一番力が強く、転移系統の神具はあれ一つしかないんだ」
「確かに戻せるのならもう戻しているはずじゃな」我はこの生を受け入れるしかないのかのう、うむまあ死にたいという訳では無いのだからこの生を歩むのもまた一興じゃな。
「本当にすまないと思っている、我々としてはあなたを連れ戻したいと思っているがそれは、無理難題、だからせめてもの罪の償いとしてあなたの今からの人生をサポートしたいと思っている」
「ほう、それはありがたい話じゃ、どこに転移したのかも分からぬしのう」
「あぁ転移した場所は前世と変わりない、何十年か先だけどな」何事もないように言った。
「む、では我は未来へ行っただけではないか」まずい・・・行きたくなかったその可能性はあるとは思っていたが考えないようにはしていた。
「そのとおりだな、おっとそろそろ時間だ。今回の件はすまなかった。その代りできるだけのサポートはさせてもらう。では、また会おう」そういいパッとわずかに発光したと思った消えていた。
ん?我はどうすればこの空間からでれるのじゃ?・・・・・・・・あの白いの今度会ったら殴ろう。
う・・・なんだか意識が朦朧としてきたぞ・・・・