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虹色魔石の生産者 EX  作者: こる


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25/50

25.夕飯

 ごはーん!


 だが、そこらの食堂では食べたくない、私の(お腹の)敵であるアイメッパが漏れ無く入っているから!

 この国では基本的に三食を外食で済ます習慣があるので、それぞれの家の台所の作業場所は本当に小さい。

 お茶を淹れるスペースぐらいしかない。

 だが、なぜかコンロは二間口、冷蔵庫には冷凍室まである上、水の魔石を使った水道設備なんかもバッチリ。

 普通のご家庭の台所を初めて見たけど、見た目がなんだか非常に懐かしい。

 だがコンロに使う火の魔石も、冷蔵庫に使う氷の魔石も電池切れ、かろうじて水道は生きてるけど……。


 いやそもそも、食材が無い。


 浄化の魔法で台所もピッカピカだけれど、使用していた形跡は無い、鍋もヤカンも皿もない。

 ノースラァトさんは典型的なこの国の人だ、完全に三食外食。


「ご飯を作りたいのか?」

 台所で呆然としていると、ノースラァトさんにそう聞かれ、素直に頷いた。

 作りたいです! えぇ、作りたいですとも。

「アイメッパが苦手なので、なるべくなら自分で作りたい、です」

 お腹壊すし!

「……そうか」


 はっ!!

 もしかして、早々に生活スタイルの不一致が発覚ですか!?

 どどどどどうしようっ! ……いや、問題無いか?

「私、アイメッパの入ったご飯が作れないので、のぉすらぁとさんは今までのように、外でご飯にしてもらえますか?」

 そして、私は自分の分だけ食事を作ればいい! そうだよ、そうすれば万事解決な上に、私の気も楽です。

 だが、そうは問屋が卸さないわけです。

「いや、私も家で食べるようにしよう」

 ノースラァトさんはあっさりとそう言いましたが、自分以外の食事を作るとなれば、気を使うから面ど……げふんげふん。

「で、でも、アイメッパ入れないですよ」

「構わない、マモリが作るものなら」

 そう言って、サラリと私の髪を撫でるノースラァトさんのせいで、心臓が不整脈です。


 似合わない! ノースラァトさんの外見には似合わないフェミニストな仕草なのに!

 ………なのに、ときめくのですよ。

 うん、困った困った。

 取り敢えず、この赤くなったほっぺた、どうにかならないものかしらねー。


「だが、作るにしても今日はもう店屋が閉まっている、明日、必要な物を色々買いに行こう」

 そう言ってくれる、ノースラァトさんを見上げると、心持ち優しげな顔と目があった。

 思わずこちらの表情も柔らかくなる。

「はい。 お鍋も食器も買わないといけないですね」

「ああ、そうだな、二人で揃いの食器にしよう」

 ペアカップとか?

 なんだか似合わない台詞を言うノースラァトさんが、可愛くて可愛くてクスクス笑ってしまう。


「いいですね、お揃いにしましょう。 今日は仕方ないから、近くの屋台でご飯にしましょうか?」

 




 高級住宅街には屋台は無いが、官舎区域には何軒か屋台がある。

 便宜上屋台と言っているけど周囲には天幕が張ってあり、雨が降っても多少風が吹いても食事がとれる、言わば簡易食堂だ。

 屋台の天幕の色は店ごとに違うがノースラァトさんは迷わず薄緑色の天幕を張った一軒の屋台に入った。

 私はノースラァトさんと並んでカウンターに座り、注文はノースラァトさんに任せた。

 実はこういう食事屋台に入るのが初めてで、どういうシステムなのかさっぱりわからないので大人しくしております。

 ノースラァトさんは慣れた様子で、カウンターの中に居る料理人に「ベッセを大盛りライ抜きツェ増しと、ラディッセを甘めでアイメッパ抜きで頼めるか」と注文し、料理人は無言で頷く。

 ……どっかのラーメン屋の注文のようだ。

 それよりも、アイメッパ抜きってできるんだ!?

 それなら、自分で料理することなんて無いよね、料理自体それ程好きじゃないし!

 わくわくしながら少々待って、出てきたあんかけチャーハンのような料理にスプーンを入れる。


 ぉ……おぉう……。

 あれです、根本的にアイメッパが入ることが前提な料理なので……食べられないことはないけれど、けして美味しくは……。


 お腹を壊さないだけ十分ありがたいってもんです。

 さて、明日は台所用品を入手しよう、うん。






 味はともかくお腹は満たされて満足な中、ノースラァトさんと手を繋いで薄明るい夜道を歩く。


 薄ぼんやりとした月明かりで、舗装されていない路面にちょくちょくつんのめっていると、ノースラァトさんに抱き上げられました。

「じ…っ、自分で歩けますっ」

「私がこうしたいんだ。 私の我侭を叶えてくれないか」

 と言って、頑なに下ろしてくれないノースラァトさんに折れて、彼の腕の中で大人しくすることにしました。

 どうせ今朝だって、外門から中まで抱っこされたんだし……とはわかっていても、子供だと思われて抱き上げられているのとじゃ、なにかが違うんです。

 なにかって、恥ずかしさ、なんですけれどもね。

「マモリ、腕を私の首に回すようにしてくれないか」

 そう囁かれるように言われて、なるほどその方が安定するのか! と、今更ながらに理解して、そっと両腕をノースラァトさんの肩にまわした。

「これで良い、ですか?」

 唇が耳元に近いので、配慮して小声でノースラァトさんに確認すると、ぎゅっと抱きしめる腕に力が込められた。

 えぇと、これは、良いってことでいいんですよね?

 

 足早にザックザックと進んだノースラァトさんのがっしりとした腕に抱かれて揺られていると、今日一日の怒涛のような展開に張り詰めていた気がゆるみ、お腹が膨れたのもあってか、私はノースラァトさんの首筋にしがみついたまますっかり寝入ってしまって。




 翌朝、ふかふかのお布団の中……というか、ノースラァトさんの腕の中で目を覚ましました。

 寝起きが温いっていうのは、気持ちがいいですよね。




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