19.軟禁
只今絶賛、軟禁中であります。
隊長さんに抱っこされたまま、上へ上へと階段をのぼり、5階だと思うんですけど、その部屋の一つに置いていかれました。
その後、メイドっぽい感じの女性がワゴンを押して入ってくると、部屋の隅でまごついている私を後目にテキパキと部屋の中央の豪華な応接セットの上にお茶とお茶菓子を用意する。
「ごゆっくりお寛ぎ下さい」
ドアの前で一礼すると無駄のない動作で部屋から出ていった。
キョロキョロ部屋を見回すけれど、わ、私しか居ないよね?
テーブルの上には、焼きたてのスコーンのようなお菓子と数種類のジャム。
ぐきゅるるる
素直だな腹の虫、そうだよな、あの親の敵のように固いパン以来の食料だもんな。
これはあれだろうか…、死を待つ者への最後の手向け的な?
ならば、遠慮は要らないだろう。
おしりに優しいすわり心地のソファに座り、両手を合わせて頂きます!
おしぼりで手を拭いて、香ばしいかおりの焼き菓子をサックリと割り、ジャムをたっぷり付けてソロリと口に入れる。
「~んーっまいっ!!」
流石にお菓子にアイメッパ(酸っぱい香辛料)は入らないからね!
ジャムも甘くて凄く美味しい、超美味しいっ!!
お茶とお菓子を交互に食べ飲み、ポットも置いてってくれたので勝手に自分で継ぎ足し、残ったジャムもお茶に入れてロシアンティーにして飲み干した。
そして、満足感で抜け殻のようになった私がソファーに沈んでますよ。
甘味は……甘味は心の栄養源だわぁ。
で、安心したら、泣けてきた。
いや実際に涙流すわけじゃないけどね!
でもなんで、なんにも悪いことしてないのに罰せられなきゃならないの?
理不尽だわぁ……そんなに虹色魔石が貴重なの? ただのオールマイティな魔石よ? 言うなればただの電池よ? どのジャンルの魔道具にセットしても使えるっていう、ちょっと便利な魔石なだけじゃない。
そうよね、ちゃんと説明してもらおう。
どうして私が罰を受けなきゃならないのかってことを。
さっきはお腹が空いていて、短気を起こしちゃったけど、何とかならないか足掻いてみよう!
うん! そうしよう!
……って、気合を入れたんですが、一向に誰も来ません。
えーと、それでですね、さっきポット1つ分のお茶を頂いた膀胱が限界なのです。
ちょっと、おねぃさぁぁぁん、トイレどこですかぁぁぁ!!




