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初検定で水晶粉砕!お嬢様ライバルと絶縁フラグ立っちゃった件

――試験場の順番待ち、クロノは前にいるサラサ・バルバトスという少女の背中をチラ見した。


サラサはもう完全に「ザ・令嬢」って感じで、背筋ピーン、鼻は高そう、口調も超お嬢様口調で前の子と話している。


(なによこの子……セリフが全部“ですわ”“ますわ”でキツすぎてちょっと引くんだけど……)


クロノは内心ちょっとドン引きだった。


 


だが、試験の待ち時間、サラサがふと振り返りキラッと目が合う。


 


「あなた、クロノ・ソーカさんですよね? 初めまして、わたくしはサラサ・バルバトスですの。実は街でよくお見かけ致しましてよ。けど実際お話しするのは初めてですわよね?」


 


「えっと、こ、こんにちは……そ、そうですね。(すげえ気品あるけど、目力強すぎて直視しづらい)」


 


サラサは軽く手を差し出している。


 


「緊張なさらずに。私たち、同じクラスですのよね?よろしくお願いしますわ」


 


「は、はい!あ、よろしく……」


クロノはちょっとおどおどしながら握手する。


 


「……なんかお嬢様言葉でキツイ感じなのかなって思ってたけど、話してみると意外と気さくかも?」




つい心の声が出てしまった。まずいと思うと


サラサはちょっとニヤリと笑って、


 


「まあ、私がお嬢様言葉なのは貴族はこうあるべきとお母様から教えられたからですの。甘やかされず、勉強も厳しくて、弱音なんて吐いたらお仕置きですわ」


 


クロノ(心の声)「それ、めっちゃ昭和の厳しい家っぽい……でも意外といい子かもな……」


 


サラサは視線を遠くにし、


 


「……街で拝見したときから、あなたのこと、密かに注目していましたの。なんて言うか、面白そうな子だって」


 


「え、マジすか?」


 


「はい、絶対に負けられませんわ。これからよろしくね、クロノさん」


 


クロノはちょっと戸惑いつつも、


 


「こちらこそ、よろしく……なんかライバル宣言されちゃったけど……私魔法全然できないから……」


 


「ふふっ、ライバルは大事。友情もね。魔法の方はあまり得意ではないということなら、わたくしの蒼氷魔法、見せてあげますので楽しみにしてなさいな」


 


クロノ(心の声)「わりとイイ感じかも……異世界初めての友達できるかもしれん!」


 


そんなふうに、わずかに芽生えた友情の予感を胸に、クロノは試験の順番を待つのだった。



さて、試験開始。



話に聞いてた試験方式だと

的に魔法を当てて、先生に「ほーら、魔法使えますね!」って確認してもらうだけ。


それでマークと作戦会議散々して、最後には

「よしよし、これだけ対策すればなんとかなるっしょ」と楽観視してたんだけど……。


 

今年から、何を思ったか教会がハイテク機器導入。



でっかい水晶が置いてあって、そこに手を当てると魔法力も属性もまるわかりだと!? 


なんでやねん!!!大阪人もびっくりな関西弁がでてしまいそうになる。


 


「まじで意味わからん……詰んだ、終わった、人生詰んだ……」


 


そんな絶望のなか時間は過ぎ、遂に前のサラサの番。


水晶に優雅に手をかざす彼女。


 


司教「おお、これはすごい!」


「入学の時点にて蒼氷魔法中級の実力だ!天才だ!」と大絶賛。


周囲から「おおー!」の声。


 


サラサ、「おーほっほ、当然ですわ!」と有頂天。


 


クロノ(心の声)「やべぇ…次私の番だ…どうしよう…」


 


だが、クロノは策を練る。




「手をかざすフリだけして、実はこの水晶をライターで炙ってやろう。魔力の判定出るだろ、絶対」


 


さりげなく手をかざす振りをしつつ、秘蔵の現代兵器・ライターであぶる。


 


「ピキピキピキ……!!」


 


水晶にヒビが入り、ついにパリン!


 


クロノ(心の声)「んぎゃああああ!!まずい!やばい!これはまずいぞ!!」


 


司教「な、何だこれは!?」


「熱っ!!熱っ熱っー!

 

驚き水晶に触れた司教、熱さに更に驚き、手を引っ込める。


フーフーして冷ました後、


震える手で言い出す。


「魔力を吸収するはずの水晶が熱で割れている……これは凄まじい紅蓮魔法の逸材だ!素晴らしい!」


 


さっきよりも盛り上がる周囲「おおおーー!!」


 


クロノ(心の声)「え?マジ?いやいや、めっちゃ目立つじゃん!やべぇ!」


 


そこへサラサが颯爽と近づき、堂々と話しだす。


「やはり私の思ったとおり面白い子。

ていうかあなた先程、魔法が得意じゃないなんておっしゃってましたけど、わたくしをからかったのですわね。ひどいお人ですわ。


そして一拍ためて、扇子の様なもので私の事をさすと、皆に聞こえるような大きな声で宣戦布告した。


クロノ・ソーカ!!

わたくし、サラサ・バルバトス。

あなたを本当のライバルとして認めますわ!

絶対負けません!」



クロノ「えええ!?さっき友達になれそうだったじゃんよ!?それ絶縁宣言ってやつだよ!?」


サラサ「フンッ友達なんて冗談じゃありませんわ!」といって去っていった。



心の中で「そりゃないよー!」と絶叫しつつ、母の元へ半べそで向かうクロノだった。



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