笑顔の下のアザ
今日で聖堂院に通ってなんだかんだもう三ヶ月になる。
魔法は相変わらず使えないけど、チートを活用した内緒の魔法少女生活も板についてきた。
あと少し頑張れば夏休み。
「おはよー!」と声をかけ合えるクラスの仲間も増えてきて、友達づくりも順調だ。
(……でも、本当に“友達”って言えるのは、やっぱりミーナくらいかな)
いつもニコニコして、誰にでも元気に声をかけて。
活発でちょっとドジっ子だけど、そこが可愛くて――ほんとに“いい子”。
……だけど。
たまに腕とか足にアザがある。
最初は「遊んだときにぶつけたのかな?」って思ってた。
でも、今日ばかりは違った。
「おはよー!」
笑顔でやってきたミーナ。けど、その顔……。
目の上が青く腫れあがってる。
――明らかに、殴られた跡。
「ど、どうしたの?」
思わず声をかけた私に、ミーナは一瞬だけ目を逸らして、すぐ笑顔をつくった。
「えへへ、階段で転んじゃっただけだよ」
……嘘だ。
三ヶ月、毎日いっしょにいたんだ。
その笑いが“本当の笑い”じゃないことくらい、すぐにわかる。
これはただごとじゃない。
私が――なんとかしなきゃ。
(でも、どうすれば……? まずはマークに相談してみよう……!)