あとがき
小説本編後、あとがきを読む時間が特に好き――私と同じ感覚の人がおそらく一定数いるんじゃないかと思います。
物語に意識ごと入り込んで、物語の色を、匂いを、空気を、五感でたっぷり感じた後、作者の雑談をのんびりと聞く。
それが、まるでお腹いっぱい食べた後、熱いお茶を飲んでお腹を休める時間のようで好きなのです。
……今はそういう時代でもないのかな? でもまぁ、そういう感覚が人々の中から失せていたのだとしたら、小説という媒体自体がとうに絶滅しているはずだとも思います。
効率的な社会になればなるほど、人は情緒を欲するんじゃないかな? 一生懸命働いてきたサラリーマンが突然『個人カフェをやりたい』『居酒屋を開きたい』『自分探しの旅に出たい』と言い出すのも、そういう効率的なだけの人生に対する寂しさが溢れるからなんじゃないか、って。
だから私は今回みたいな物語ばかり書きがちだし、やめられない。
さて。
遅くなりましたが、ここまで読んでいただいてありがとうございます。風宮いなと申します。
実はこの作品をここまで、しかもあとがきまで読んでくれている皆さんに、一つ、解いて欲しい『謎』があります。あ、ストーリーのネタバレは含まないのでまだ本編を読んでいない方も安心してください。
この『不来方三咲とあやかしごと事件手帖』、実はある新人賞に応募していたものです。それが落選したからここに投稿しているわけですが、実に奇妙な経緯を辿っています。
それが『三次選考にて落選』⇒『受けた選評を元に改稿、再度応募』⇒『一次選考落選』
……????
今回投稿して皆さんに読んでもらったのは改稿後。つまり一次落選した状態の物です。一次落選といえばよく『そもそも文章の体裁を成していない』と言われます。さすがにそれは古い話なのだとは思いますが、(応募原稿の不備による落選を考えないのであれば)それに該当することになります。
しかし、どう言おうとも結果は結果。暴れたり、非難するのは違います。これを受け入れて糧として上達するため、『三次選考時の選評をより分析しよう!』となりますが……この選評がまた奇妙でして。
内容は公開しちゃいけないはずなので、濁して大雑把に言いますが、二人分の選考を頂いています。(今回のはそれを元にした改稿後なので、今は該当しないかもですが)
1.『キャラクターが固い感じ』『文章表現が丁寧で◎』
2.『キャラクターが個性豊か』『文章表現にクセがあるのが×』
いやちょっと!? 真逆のことを同時に言うのはやめてくれませんか!?
……いわば特徴が強く出ているからこそ両面の意見があるのかな? でもそれって結局、私自身の長所はどこで、短所はどこに? 伸ばすべきは? 直すべきは? ……今後も作品を作っていくにあたって、針路や修正はどうしたらいいのか……。
そこで、ここまで読んでくれた、あるいはこれから読む皆さんが素直に感じたことを、ぜひ感想で教えて欲しいのです。肩の力も考察も抜きにした、ごく普通の簡素な感想で構いません。とにかく色んな人の色んな感想をお願いします。全然正直に言いますが、とにかくデータ数が必要です!
この『謎』の答えに少しでも近づくため、力を貸していただけたら嬉しいです。
最後に、『不来方三咲とあやかしごと事件手帖』を読んで頂き、ありがとうございました。