2 バカの家族!
この世界において魔法は習得難易度が高い。要は難しいのだ。なので平民は魔法を使えるモノは少なく、貴族や王族が魔法を習得する場合が多い。
「リアナぁぁぁ!!!! 魔法を教えてくれぇぇ!!!!!! どこだリアナぁぁ!!!」
よって7歳リアナ・レグラコスは困っていた。自分の兄が『バカ』なのだ。
「どうして魔法を重視するうちの家系からあんなバカな兄様が出来たのかしら」
リアナは兄のアベルから逃げるべく、屋敷の庭にある草むらに隠れて読書をしていた。
もちろん内容は魔法学、両親からはバカな兄より気品のあり優秀な妹の方が期待されているのだ。
「リアナ、何をしているの?」
リアナを見つけたのはカーラ・レグラコス、リアナの母である。
「母様、アベル兄様を止めてください! 私に魔法を習いたいと言って屋敷中を駆け抜けています!」
カーラは小さなため息をついたがリアナの前でしゃがむ。同じ目線になってカーラは言う。
「確かにアベルは頭の弱い子だけど、頑張って魔法を覚えようとしてるわ。それにアナタの大切な兄よ。少しぐらい教えてあげたら?」
「嫌です! 私は1人で魔法を極めたいんです。父様のように!」
カーラ返答に困り黙ってしまう。
ーだいたい兄様は雇った家庭教師を8人辞職させてしまうほど理解力のない人です。まだ子どもの私に教えれる訳ないです。
「いたぁぁぁぁぁ!!! リアナぁぁぁぁ!!!!」
「いやぁぁぁ!?!」
屋敷の窓から一直線で突っ込んでくるのはレグラコス家1のバカことアベル・レグラコス、10歳だ。
「教えてくれぇぇ!!! 魔法はどうやって使うんだァァ!!!」
「嫌です! 兄様1人で頑張ってください!」
「リアナならバカな俺でも魔法が疲れるかもしれない!! いやできる!! リアナは俺よりもの凄く頭がいいんだから!! 俺にはできない問題もリアナは簡単に解いてしまうのだから!!」
アベルの無意識な絶賛がリアナを調子に乗らせた。
「う….ちょっとだけ。ちょっとだけなら教えてあげます」
「何ぃぃぃ本当かぁぁ!!! ありがとうリアナぁぁぁ!!!」
彼女の行動にカーラはニコニコとしていた。
2話です。読んでくれてありがとうございます。