92 【石化】攻略法
俺は【見切り】を発動しつつ、ラヴィニア隊長に向かって一直線に【突進】した。
「? 策もなくただ突っこんでくるつもり……?」
隊長は怪訝そうにつぶやきつつも、俺を見据える。
ゲームでも、この【石化】は連発できない。
撃ちまくることができたら、そりゃ無敵だけど――さすがにゲームバランスが崩壊するからな。
で、予想通り、この世界の【石化】スキルもゲーム同様で、連続で使うことはできないみたいだ。
おそらく【石化】を使うためには、ある程度の『溜め』がいるんだろう。
その間に攻撃の方向を【見切る】んだ。
カッ!
ラヴィニア隊長の両目が妖しい光を発した。
来たか、【石化】――。
俺は即座に横に跳んで、スキルの効果範囲から逃れた。
そして、すぐに【突進】を再開する。
「避けた!? けど、何度も避けられないわよ!」
ラヴィニア隊長は牽制代わりに魔法弾を撃ってきた。
俺の【突進】を鈍らせようというのだろう。
実際、かなりの威力があり、俺もさすがに真っすぐ突っこむことはできない。
左右に避けながら、徐々に距離を詰めていく。
そうこうしているうちに、ラヴィニア隊長の両目が再び輝いた。
二発目の【石化】――。
けれど、俺はすぐに横に跳んで、避ける。
さらにしばらくして三発目、もうしばらくして四発目……。
俺はそれらをことごとく【見切り】、避けてみせた。
「!? 当たらない――私の【石化】が……!」
ラヴィニア隊長は戸惑っているみたいだった。
確かに【石化】は強力なスキルだ。
けれど、一つ欠点がある。
それは――当然のことだけど、彼女が目にしたものしか石に変えられないこと。
視線というのは、その軌道は直線的だ。
そこから外れることができれば、【石化】はされない。
最初の【石化】が直線的な範囲しか石になっていなかったから、この戦法を思いつくことができた。
ラヴィニア隊長が視線を向ける瞬間を【見切り】、超スピードでその軌道から離れる。
タイミングさえ間違わなければ、俺はラヴィニア隊長の【石化】にかかることはない。
「おおおおおっ……!」
俺はさらに加速してラヴィニア隊長に迫った。
「くっ……【ルーンブレード】!」
近接戦の間合いに入る瞬間、隊長は魔力の剣を生み出した。
剣も使えるのか――?
ぎいんっ。
俺の繰り出した斬撃を、ラヴィニア隊長は魔力の剣で受け、そして流した。
「くっ!?」
剣を使うのは本来の戦闘スタイルではなさそうだけど――それでも、かなり遣えるな、隊長――!
俺は気持ちを引き締め、剣を構えなおした。
「さすがに……剣では分が悪いわね」
一方のラヴィニア隊長はわずかに表情を歪めている。
そんな表情すら美しくて、俺は一瞬見とれてしまった。
そして――その一瞬が、戦局を変える。
ごうっ!
背後から押し寄せる『熱』に、一瞬反応が遅れてしまった。
「ぐあっ……」
俺はその熱波に大きく吹き飛ばされる――。
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