91 高位魔族【メデューサ】の実力
「模擬戦で手合わせする機会もなかったわね。君とは完全に初めて――」
ラヴィニア隊長が微笑む。
「見せてもらうわよ。君の力」
「では、存分に――」
どんっ!
地を蹴り、俺はラヴィニア隊長に向かっていく。
正直に言うと――。
いいところを見せよう、という気持ちがなかったと言えばウソになる。
というか、ラヴィニア隊長に『カッコいい俺』を見せたい自分が確実に存在した。
恋の力、ってやつだ。
「おおおおおっ……!」
【突進】の途中で【バーストアロー】を発動。
ごがあっ!
ラヴィニア隊長の足元を砕いた。
「っ……!?」
バランスを崩した彼女に対し、さらに間合いを詰め――。
「!?」
その瞬間、俺は嫌な予感を覚え、とっさにそこから跳び下がった。
「――へえ」
ラヴィニア隊長が笑う。
いつもの優しい笑顔じゃない。
戦士としての、攻撃的な笑み。
「よく察知できたわね」
「これは――」
さっきまで俺がいた地点が灰色に変色している。
「【石化】……!?」
「そう。【メデューサ】の眷属である私の基本スキルであり、必殺スキルよ」
もし全身が石に変えられてしまったら、その時点で戦闘不能――つまり敗退だ。
実際ゲーム内でも【石化】は戦闘中に食らうと、その戦闘では死亡に準ずる扱いだったからな。
強力な敵だと三割くらいの確率で【石化】を成功させてくるけど、ラヴィニア隊長のスキルはどの程度の確率なのか――。
「あら、近づいてこないの?」
ラヴィニア隊長が俺を誘う。
「君は剣士でしょう。近づかなければ、私を倒せない――いえ、それともナイフを使った遠距離攻撃で来る?」
「――ですね」
俺は投げナイフを取り出した。
予備はまだ二十本近くある。
「【バーストアロー】!」
さっきと同じく足元を狙う。
「私を直接狙わないのは、君の優しさかしら? けれど――」
ぎんっ!
ラヴィニア隊長の両目が妖しい輝きを放った。
同時に、俺が【投擲】したナイフは一瞬にして石と化す。
「仮に狙ったとしても、私には当てられない。君の技は、私には通じないわ」
「――いや、今ので分かったことがあります」
俺は剣を構えなおす。
「【石化】の攻略法――いきますよ、隊長」
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