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8 中ボス【阿修羅】とバトル


 さらに何度か戦い、俺のステータスはここに来る前と比べて、格段にアップした。


 ちなみにここに来た直後は、


――――――

名前:ゼル・スターク

種族:デモンブレイダー

ちから:5

はやさ:7

HP:30

MP:0

スキル:【上段斬り】【中段突き】【下段払い】

――――――


 そしてこれが、合計で七度の試練をクリアして得た、今のステータスだ。


――――――

名前:ゼル・スターク

種族:デモンブレイダー

ちから:230

はやさ:322

HP:787

MP:0

スキル:【上段斬り】【中段突き】【下段払い】

    【投擲】【集中】【回避】【突進】

――――――


 ストーンゴーレム戦の後も【集中】や【回避】【突進】といった新たなスキルを得ることができた。


 遠距離攻撃に使えるのは【投擲】だけだけど、新たなスキル群のおかげで俺の近接戦闘能力はかなり上がったはずだ。


 そして――。




「俺は『阿修羅』。この闘技場の中ボスだ」


 三つの顔と六つの腕を持つ鬼神が言い放った。


 八度目の試練で現れたのは、こいつだった。


「っ……!」


 俺はゴクリと喉を鳴らす。


 違う。


 今までの七回の試練とは、まったく違う。


 こうして向き合っただけで分かる。


 阿修羅は――これまでのモンスターとは強さの次元が完全に違う、と――。


「俺を倒してみせろ。そうすれば、お前は新たな力を得られるだろう。ただし――敗北はこの闘技場からの離脱と心得よ」

「一回負けたら、終わりなのか? 俺にはまだライフが二つあるけど……」

「通常モンスターならば、ライフの数だけ機会が与えられる。ただし中ボスや最終ボスに関しては一度の敗北で、闘技場から追い出される。そういう仕組みだ」


 阿修羅が言った。


 意外と丁寧に説明してくれるんだな、こいつ。


「さあ、来い。挑戦者よ」

「じゃあ、遠慮なく――【突進】!」


 俺はスキルを使い、高速で間合いを詰めた。


 同時に【集中】を発動。


 これを使うことで、思考は反応などの速度が劇的に上昇する。


「【中段突き】!」

「遅いな」


【突進】の勢いを乗せた渾身の突き――俺の最速の攻撃を、阿修羅はあっさりと避けてみせた。


 カウンターで六本の剣を次々に繰り出してくる。


「くっ……この……っ」


 俺は一瞬にして防戦一方に追い込まれた。


 こっちの剣は一本なのに、相手は六本――当然、手数も六倍である。


 防御しきれず、体のあちこちを切り裂かれていく。


「はあ、はあ、はあ……」


 俺は大きく距離を取った。


 駄目だ、接近戦じゃ勝ち目がない。


「それなら――」


 俺は地面の石を拾って【投擲】した。


 亜音速に達した石ころは、まさに弾丸の勢いで阿修羅に迫る。


 ざんっ……!


「無駄だ」


 阿修羅はそれをあっさりと斬り落とした。


「我が剣は光速。この程度の速度では我が防御を撃ち破れぬぞ」

「これもダメか……っ」


 俺はうめいた。


 切り札ともいうべき【投擲】すらまったく通用しない――。




 その後も、俺は一方的に追い詰められた。


 徐々に相手の攻撃を避けられなくなり、小さなダメージが蓄積していく。


「そろそろ終わりにしてやろう」


 阿修羅が六本の剣を同時に振りかぶった。


「【阿修羅・斬撃六連】」


 ぞうっ!


 六本の剣がほとんど同時に撃ちこまれる。


【集中】し、【回避】を発動するが、それでも避けきれない――!


「ぐあっ……!」


 俺は六撃を食らい、血まみれになりながら吹き飛んだ。


「が、がは……っ」

「ほう? まだHPが残っているか。大したものだ」


 阿修羅が近づいてくる。


 なんとかHP0になるのは免れたみたいだけど、もうほとんど体力が残ってない。


「くっ……」


 立ち上がるのがやっとだった。


 体がふらつき、まともに剣も触れないだろう。


「次で終わりだ。その体ではもう防御も回避もできまい?」


 阿修羅が六本の剣を振りかぶる。


 さっきのスキルがまた来る――。


 どうする?

 どうする!?

 どうする――!


 頭の中はパニック寸前だった。


 このままでは確実にやられる。


「――まだだ」


 少なくとも前世の俺なら『逃げたい』『怖い』としか思わなかっただろう。


 パニックに囚われたまま、何もできずに阿修羅にやられていたはず。


 けれど、俺は強くなった。


 転生してからの日々で。


 さらにこの闘技場での連戦でも。


 戦うたびに――強くなっていったんだ。


 それはきっと『目標』ができたからだ。


 俺自身が生き残ること。


 そしてラヴィニア隊長に生きてほしいという願い。


 前世にはなかった強固な目標が――俺を磨き上げた。


 力も、心も。


「諦めないぞ……!」


 だから俺の闘志は萎えない。


 腹を決めた。


「――どうせ避けられないなら!」


【突進】を発動した。


 間合いをグングン詰める。


「捨て身の特攻か!? その程度で勝てるほど、俺は甘くないぞ」

「【集中】」


 続けてスキル発動。


「【上段斬り】」


 間合いの外から剣を振り下ろす。


 そして、その勢いで加速した剣を、


「【投擲】!」


 渾身の力で投げつける。


【突進】と【上段斬り】で二段階に加速した勢いを乗せての【投擲】――。


 しっかりコントロールするために【集中】も併せて発動している。


「貴様……!?」


 驚く阿修羅。


「これが、俺が発動できる最強最速の攻撃スキルだ……!」


 超加速した剣が、阿修羅の胸を貫いた。

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敵国で最強の黒騎士皇子に転生した僕は、美しい姉皇女に溺愛され、五種の魔眼で戦場を無双する。


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