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70 中ボスバトル、羅刹と夜叉1

「――さすがです。前回ここに来た時より、はるかに強くなっていますね」

「ここのモンスターでは歯が立ちませんね」


 羅刹と夜叉が現れた。


「さあ、次のモンスターを出してくれ」


 俺は彼らに言った。


「俺は――もっと強くなりたい」

「いえ、モンスターはこれで終わりにしましょう。残り回数は三回ありますが、どうせあなたの前では瞬殺でしょう」

「その分の経験値も含めて、あたしたちに勝てたら――差し上げます」


 二人がニヤリと笑った。


 さっきまでの友好的な微笑じゃない。


 もっと獰猛な――獲物を狙う肉食獣を思わせる笑みだった。


「下級闘技場の阿修羅みたいに、君たちがここの中ボスってことか」

「そういうことです」

「言っておきますけど、強いですよ? あたしたち」

「構わない」


 俺は力を込めてうなずいた。


「そういう奴を倒してこそ、俺はもっと強くなれる――」




「僕たちは魔術師型です。少し距離を置かせてもらいますよ」


 スーッと空中を滑るようにして、二人は俺から遠ざかっていく。


 やがて三十メートルほどの距離を置いて、彼らは止まり、そこから上空に浮かび上がった。


 もちろん、一足飛びに詰められる距離じゃない。


「では、始めましょう」

「見せてくださいね、あなたの……【プレイヤー】の力を」


 羅刹と夜叉が微笑む。


「ああ、見せてやる」


 俺は剣を構えた。


 ほぼ同時に、


「はあああああっ!」


 二人が空中から無数の魔法弾を撃ってきた。


 赤く輝く魔力エネルギーの光弾だ。


 基本的に剣で魔法を斬ることはできない。


 土や植物など、物理的なものを飛ばしてくるタイプなら別だけど、大半の魔法は『エネルギー』だからな。


 剣で斬っても通過するだけ。


 つまり――対魔法戦闘において、剣士は魔法を避けるのが基本だ。


「【集中】。そして【見切り・回避ルート】を発動」


 俺はスキルを発動した。


 たちまち無数の魔法弾の動きがスローモーションに見え、さらにその魔法弾に当たらずに進めるルートが表示された。


 そこを進んでいけば、被弾せずに羅刹、夜叉に接近できる。


「なるほど、その域には達しているわけですか」


 と、羅刹。


「でも……まだ甘いですよ?」


 と、夜叉。


 次の瞬間、




 ヴンッ!




 突然、その【回避ルート】が消滅した。


 安全なルートが、何も見えない――。




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敵国で最強の黒騎士皇子に転生した僕は、美しい姉皇女に溺愛され、五種の魔眼で戦場を無双する。


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