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68 中級闘技場の戦い

「その【管理者】というのは、どこにいるんだ?」

「最上位の闘技場――つまり【超上級】にいらっしゃいますよ、ゼル様」

「そこまでゼル様がたどり着けたなら――お会いできるでしょう」


 羅刹と夜叉が言った。


「【超上級】……か」


 ここと、次の【上級】の闘技場を突破すればいいわけだ。


「分かった。じゃあ、まずここで修行をさせてほしい。いいかな?」


 俺は二人に言った。


「もちろんでございます」

「ゼル様の戦いぶりをお見せくださいませ」


 羅刹と夜叉が深々と一礼し、その姿がフッと消えた。


 同時に、




『クリア条件:エヴィルメイジ5体を討伐』

『挑戦しますか? はい/いいえ』




 空中にメッセージが表示された。


 俺は『はい』の部分を指でタップする。


 ぴろりん。


 音が鳴り、前方に5体のモンスターが出現した。


 赤いラインが入った黒いローブをまとった魔術師型の魔族だ。


【エヴィルメイジ】。


 前回ここに来たときに戦った【ダークメイジ】と同じ系統の魔族だった。


【ダークメイジ】が下級魔族であるのに対し、こいつは中級だ。


 ちなみに上級は、あのレキもそうだった【カオスメイジ】である。


「中級だけあって下級よりもモンスターが強いわけか」


 俺は剣を抜いた。


 さあ、今回も次々に勝ち抜いてパワーアップを果たしてみせる――。




 ごうっ!

 ばりばりばりっ!


 開幕早々、エヴィルメイジたちがいっせいに魔法攻撃を放ってきた。


 前回のダークメイジもそうだったけど、遠距離から多人数で魔法を連発し、一方的にこっちを攻撃し続ける――というのが、奴らの戦法らしい。


 しかもエヴィルメイジは、火炎攻撃の一辺倒だったダークメイジと違い、火炎、雷撃の二種の魔法をランダムに放ってくる。


 回避や防御がしづらいうえに、相手は五体。


「さすがに中級だけあって敵も随分とパワーアップしてるな」


 俺は迫りくる炎や雷撃を見据えた。


 すでに【集中】による【見切り】を発動している。


「そして、さらに」


 俺は【集中】を高めた。


「派生スキル【回避ルート】を発動」


 それは人間界から帰って以来、修行を続けてきた俺が身に付けた、新たなスキルである。


【見切り】によって、攻撃が当たらない場所を見つけ出すことができる。


 どれだけ相手の手数が多くても、この【回避ルート】を進む限り、被弾することはない。


「見える――」


 俺は炎や雷に当たらないルートを進み、一発も食らうことなくエヴィルメイジに肉薄した。


「この距離なら魔法攻撃より俺の剣の方が速い」


 ざんっ!


 まず一体。


「【突進】」


 超スピードで距離を詰めて、さらに三体を屠る。


 しょせん剣の間合いでは、魔術師系の魔族なんて俺の敵じゃない。


 最後の一体はやや距離が遠いが――、


「【バーストアロー】!」


 もちろん投擲攻撃のコンボスキルも健在だ。


 最後の一体はこれで撃破した。


 最初から【バーストアロー】で五体を速攻で倒す、という選択肢もあったけど、どうせなら実戦で【回避ルート】を試してみたかったしな。


 とりあえず、使ってみた感触としては、『かなり使える』という手応えだった。


「お、成長したステータスが表示されるぞ――」


 俺は期待を込めて空中を見上げた。



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敵国で最強の黒騎士皇子に転生した僕は、美しい姉皇女に溺愛され、五種の魔眼で戦場を無双する。


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