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4 討伐、そして……『道』が開かれる


 短い戦闘が今、終了した。


「完全に肩透かしだな……」


 俺は呆然となっていた。


 中級魔獣【ボランザ】退治は――ほとんど苦戦することなく、問題なく終了した。


 まず飛び道具での攻撃。


 そして足が止まり、体勢が崩れた魔獣に、隊員たちの一斉攻撃。


 ほどなくして魔獣は動かなくなった。


「会心の勝利ってやつだな……」


 まだ緊張が残っていて、全身がこわばっていた。


 もともと【ボランザ】の急所を突いて倒し、経験値をたっぷりいただくつもりだったけど――。


 まさか、他の隊員たちの攻撃だけで【ボランザ】を倒してしまうとは思わなかった。


 想定外の楽勝だ。

 と、


「会心の勝利って言っても、お前は何もしてないだろ、ゼル」


 ミラがニヤリと笑った。


 言い返せない。


 実際、剣士の俺は剣の間合いまで接近しないと攻撃できない。


 けれど、今回はその間合いまで行く前に、後衛の魔術師や弓術士たちが遠距離攻撃だけで魔獣を倒してしまったのだ。


「いや、ミラも何もしてないじゃん」

「ぎくう」


 俺のツッコミにミラが顔をひきつらせた。


「……そうなんだよなー。ここで活躍して、俺が隊のエースだってアピールしたかったのに」

「エースにこだわるんだな」

「当たり前だろ! 一番は俺だ!」


 ミラが顔をずいっと近づける。


「成り上がってやるんだ、俺は」

「成り上がる……」

「魔界で成り上がるには、強さを示すのが一番だからな。俺は戦功を積んでいくぞ……!」


 燃えているようだ。

 と、


「う、うわぁぁぁぁぁっ……!」


 ふいに前方から悲鳴が響いた。


「なんだ――?」


 見れば、いつの間にか前方に小山のように巨大なモンスターがいる。


 一体、どこから現れたんだ……!?


 戦慄する俺。


「【空間転移】で出て来やがった!」

「転移術を使えるってことは――上級の魔獣か!」

「おいおい、上級なんて俺たちじゃ倒せねーぞ!」


 前衛の兵士たちがざわついている。


 全長は10メートルくらいだろうか。


 魔獣としては中型程度の大きさだ。


 さっきの【ボランザ】は30メートルくらいあったから、外見だけで言えば、【ボランザ】の方がずっと強そうだ。


 けれど、その全身から漂う威圧感が尋常じゃなかった。


「ひ、ひいいいいいい……」


 前衛の兵士たちは青ざめた顔で硬直していた。


 恐怖のあまり動けないのだ。


 俺も足がすくんでいた。


「上級魔獣――」


 ごくりと喉を鳴らす。


「こいつは確か――【ディグランザ】!」


 こいつもゲーム内に登場する敵だけど、【ボランザ】とは強さの次元が違う。


 なにせゲーム終盤においても中ボス格だ。


 俺が敵う相手じゃない……という以前に、たぶんこの隊の総力を挙げても、まったく歯が立たないんじゃないか……!?




 るおおおおおおんっ!




 魔獣が吠えた。


 その声が音圧衝撃波となり、魔族兵たちをなぎ倒していく。


「ひ、ひいっ」

「ぐあっ……」


 悲鳴と苦鳴が響き渡った。


 音圧を浴びた魔族兵は、ぐちゃぐちゃの肉の塊になって転がっている。


 けっこうグロい……。


 というか、こんなの食らったら即死じゃないか……!


 俺は魔獣の正面に立たないように逃げ回った。


 威力はすごいけど、奴の攻撃の正体は『雄たけび』だ。


 なら、奴の正面に立たず、ある程度の距離を取れば、食らわなくて済む――。


 ずるりっ。


 そう考えて距離を取ろうとしたとたん、足を滑らせてしまった。


「し、しまっ――」


 不安や恐怖から足がもつれたのだ。


 やっぱり実戦は訓練とは違う。


 もっと場数を踏めば、実戦でも訓練のように動けるんだろうか?


 分からない。


 それが分かる前に――俺はこの場で殺されてしまいそうだ。


 そんな絶望を感じた次の瞬間、


 るおおおおおおんっ!


 正面から魔獣の雄たけびを食らってしまった。


「ぐああ……っ」


 すさまじい衝撃波をまともに浴び、全身が内側から砕かれるような激痛が走る。


 直撃だ。


 まずい、死ぬ――!?




『異空間闘技場モードが開放されました』

『移動しますか?』




 痛みのあまり薄れゆく意識の中で、突然そんな声を聞いた。

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敵国で最強の黒騎士皇子に転生した僕は、美しい姉皇女に溺愛され、五種の魔眼で戦場を無双する。


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