23 俺たちはゴールデンルーキーとして評判になる
――その後、バロールとレキもそれぞれ測定を行い、ともに攻撃力Aランクだった。
さらにその他の適性試験も一通り行い、
「俺たち全員がAランク認定……ですか?」
「はい、みなさん素晴らしい成績です。パーティ全員が最初からAランク冒険者になるなんて、我がギルド始まって以来の快挙……本当におめでとうございます!」
受付嬢はかなり興奮した口調だった。
周囲の冒険者たちもざわめきっぱなしだ。
「お、おい、すげーな、あいつら……」
「登録初日で、もうAランクかよ……」
「絶対、すぐにSランクまで上り詰めるだろ……」
「い、今のうちにサインもらっとこうかな……」
ち、ちょっと目立ちすぎか……!?
いちおう、これって潜入任務なんだけど――。
「くくく、この俺の実力は隠そうとしても隠し切れないみたいだな」
ミラはすっかりご満悦だった。
「いや、別に隠そうとしてないだろ、君は」
「へへへ」
にやけぱっぱなしのミラ。
「目立つの、苦手です……」
その隣でレキが居心地悪そうにしていた。
「――ふん、やはり俺たちの実力はこうして知れ渡ってしまうんだな。違う世界に来ても」
「……バロール、俺たちが魔族だって悟られないようにな」
俺はそっと耳打ちした。
「おう、俺がうっかり口を滑らせるようなうかつな男に見えるか?」
ちょっと……いや、すごく滑らせそうに見える……。
「さっそくクエストに挑んでみよう」
俺はみんなに提案した。
「なあ、俺たちの目的ってあくまでも人間界の潜入調査だろ? 実際に冒険者の仕事をやる必要があるのか?」
と、バロールがたずねた。
「とりあえず、魔族だとバレないために『隠れ蓑』として、冒険者の地位をこうして手に入れたんだ。後は本分である調査をした方がよくないか?」
「バロールが……まともなこと言ってる!」
ミラが叫んだ。
「なんだ、それは。俺はいつもまともだぞ」
「まあ、それは確かに」
俺はうなずく。
「ただ、まったく何も仕事をしないと、それはそれで怪しまれると思う。そうだな……二手に分かれて、二人はクエストを、もう二人は調査を進めるっていうのはどうだろう?」
と、俺。
「冒険者の仕事は別に毎日やる必要はないし、オフの日は四人で調査してもいいと思う」
「私はそれでいいと思います……賛成です」
ひょこっと手を挙げるレキ。
「俺も異存ないぞ」
「俺もだ」
バロールとミラも言った。
「ただ、俺は地味な調査よりも、冒険者の仕事をやりたいな。強敵とのバトルもあるんだよな?」
「はは、討伐任務ならモンスターとバトルだ」
血気盛んなミラに、俺は苦笑交じりに答えた。
「じゃあ、ミラはクエストメインで、残り三人が順番にミラとコンビを組んで冒険者の仕事をするのはどうだろう?」
「異存なし」
「私もです……」
――というわけで、俺たちの方針が決まった。
冒険者としての初日、俺はミラと組んでクエストをやることになった。
バロールとレキはこの町を散策という名の情報収集だ。
この世界の地理や情勢なんかを聞き出すんだけど――大丈夫だろうか?
レキは口数が多い方じゃないけど、バロールはそれなりに他人と打ち解けられそうだから問題ないかな?
で、俺はといえば――、
「なあ、このドラゴン退治がよさそうじゃねーか?」
「いや、それはSランクじゃないと受けられないやつだよ」
俺は壁一面に張り出された受注書を見ながら説明した。
「ほら、ここに受注条件が書いてあるだろ」
「おお、ちゃんと見てなかった……」
「っていうか、なんでいきなりドラゴンなんだ? 最初はもう少し弱そうなやつの方がいいだろ」
「何言ってんだ! 強い奴が相手の方が楽しいじゃねーか!」
俺の常識的な意見に対し、ミラは力説した。
「うーん……まあ、でもその辺のモンスター相手なら負けないか、俺と君なら」
あらためて受注書を見回す。
「お! これはどうだ?」
ミラが何か見つけたようだ。
それに視線を移すと――、
「【サイクロミノタウロス討伐】【出没場所:レンダロ村】……?」
あれ? なんか覚えがあるぞ。
レンダロ村のサイクロミノタウロス――。
「あ、ゲーム中盤のイベントじゃないか!」
主人公が立ち寄った『レンダロ村』を【サイクロミノタウロス】というモンスターが襲ってくるイベントだ。
「確か――【サイクロミノタウロス】を倒すと成長アイテムを落とすはずだ」
よし、これだ。
俺はミラに言った。
「よさそうだな。これにしよう!」
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