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15 魔界最強クラスの敵


「どうした? 今ので怖気づいたか、下級魔族剣士(デモンブレイダー)の小僧!」


 ルインが吠えた。


「最上位ゴーレムであるこの俺に下級剣士がどこまで抗えるか……その身で確かめるがいい――」

「下級だから最上位に勝てないとは限らないだろ」


 俺は剣を構え、言い返した。


「勝てんさ、お前は」


 ルインがニヤリと笑った。


「【装甲具現化】」


 そしてその体が膨れ上がり、服がはじけ散る。


 その下から現れた素肌が、水晶に似た輝きに覆われる。


「水晶の体――?」


 こいつはゴーレムだ。


 実際にゲーム内でこいつと戦うシナリオまで進んでいないから、詳しい能力や特性は分からないけど。


 人型の外見から戦闘時にはゴーレムに変身する――いや、そのゴーレムこそがこいつの正体なんだ。


「こいつが俺の戦闘形態だ」


 全身が幾何学的なラインで構成されたゴーレムへと変身したルインが、俺を見下ろす。


 身長は五メートル程度だろうか。


 見た感じ、種族は【クリスタルゴーレム】か?


 それなら中級クラスのモンスターだ。


 確かに俺の種族【デモンブレイダー】よりは格上だけど、今の俺なら勝てない相手じゃない。


「来ないならこっちから行くぞ」


 ずしいん、ずしいん。


 地響きを立てながら、ゴーレムが距離を詰めてきた。


 体格から考えてもパワーでは奴が圧倒的に上だろう。


「なら、こっちはスピードだ!」


 俺はふたたび疾走した。


 あの鈍重な体では、俺のスピードにはついて来られないだろう。


 速度差でかき回し、体の中で脆そうな部分を見つけて集中攻撃する――。


 現状、俺が立てている作戦はそれだ。


「むっ……!?」


 案の定、ルインは俺の動きを見失っていた。


 こっちのスピードについて来られていない。


 俺は易々と奴の背後に回り込んだ。


 隙だらけだ。


「もらった!」


 俺は奴の頭部に渾身の斬撃をくらわせる。


 いくら最上位ゴーレムの装甲でも、これだけの速度で叩きつければ――。


 ばきんっ!


「えっ……!?」


 剣が、半ばから折れた。


「一つ、勘違いしているようだな」


 ルインが振り返った。


「俺の体は水晶製じゃない。俺は――」


 ニヤリと笑う。


「世界最硬の魔導金属『オリハルコン』でできている。いかにお前の剣技が優れていようと、鋼の剣では傷つけることはできん」


 オリハルコン――。


 それはゲーム内でも最高ランクの武器や防具に使われる素材だ。


 それをボディ丸々覆っているっていうのか?


「チートすぎだろ……」


 俺はうめいた。


 全身オリハルコンなんて……俺の剣じゃ、傷すらつけられないじゃないか。


「では、そろそろ俺から攻撃するか。お前の力を見るために、最初は攻めこませてやったが……残念ながら下級魔族の限界だな。お前には――」


 ルインが拳を振りかぶる。


「致命的な弱点がある。それを克服できない限り、俺には歯が立たねーよ。そら、【衝撃拳】!」


 スキルを伴った攻撃だ。


 ごおおおおおぅっ!


 その名の通り衝撃波を発生させながら、巨大な拳が俺に迫る。


「くっ……」


 こんなものを剣で受けられるはずがない。


 俺は大きく横に跳んで避けた。


「身のこなしは相当のものだ! だが、それでは勝てんぞ!」


 言って、ルインは左右の拳から【衝撃拳】を連発する。


「くううっ……」


 当然防げないので避け続けるしかない。


 俺は縦横に跳び回り、荒れ狂う衝撃波の嵐から逃げ回った。


 相手の手数が多く、反撃に出る隙がない――!


「やられる……!」


 その瞬間、奴の拳が異常なまでにスローモーションに見えた。


「なんだ……!?」


 アドレナリンなんかが大量に出て、すべてがゆっくりに見える……たとえば自動車事故にあったときなんかにそういう現象がある、って聞いたことがあるけど。


「【集中】の効果と俺自身が追い詰められたことによる相乗効果ってとこか――?」


 なんにせよ、すべてがスローモーションになっている。


 これなら相手の攻撃の軌道や範囲を見切って避ける余裕が十分にある。


「……ん?」


 そこで俺は奇妙なことに気づいた。


「なんだ――?」


 奴の腕の一点――手首の内側あたりに黄色い丸が見える。


 正確には二重丸のマークだ。


 そうだ、ゲームでもこういう表示があったな。


 確か、あれは――。


「【弾く】スキルか!」


 いわゆる【パリィ】というやつである。


 俺がそのスキルを会得した――ってことか?


 あるいは、今まさに会得しつつあるのか。


 ためしに折れた剣でその点を軽く叩く。


 すると――、


「くっ……!?」


 ルインが大きく体勢を崩し、拳が空を切った。


 同時に、


 ばしゅっ……!


 衝撃波が大きく逸れて、飛んでいく。


「何……!?」


 戸惑いと驚きの声は、俺とルイン双方から出たものだった。


「拳も衝撃波も防げた――!」


 完全とは言い難いけど、パリィと似たような効果を発揮したぞ。


 そういえば――『異空間闘技場』でも似たようなことがあった。


 武器を『投げる』攻撃を繰り返しているうちに、それがスキルとして昇華し、新スキル【投擲】となって身に付けることができた。


 今の【弾く】も同じように、俺が技術として見出し、それがスキルとして昇華しようとしている――?

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敵国で最強の黒騎士皇子に転生した僕は、美しい姉皇女に溺愛され、五種の魔眼で戦場を無双する。


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