119 対抗戦、決勝の前2
「なあ、隊長。俺はもっと強くなれると思うか?」
ミラがたずねた。
「君は常に自分を磨くことを怠らないわ。きっと、今よりも強くなれる――」
「けど、種族による限界ってやつがあるよな? 普通は」
ミラがさらにたずねる。
「……そうね。基本的にはすべての種族に『成長限界』がある、とは言われているわね」
うなずくラヴィニア。
「ただし、その限界を超えた者も存在するわ。たとえば――」
「ゼルだろ。あいつ、下級種族のはずなのに、今はもう高位魔族並みか、それ以上だ」
ミラがうなる。
「なあ、隊長……あいつ、どういう修行をしてるのかな? あそこまで限界を超えるなんてことは、あり得るのか?」
「現にゼルくんはどんどん強くなってるじゃない」
と、ラヴィニア。
「普通じゃない、ってことさ。何か特別な理由があるのか? 修行方法なのか、それとも別の――たとえば魔法の術式とかさ」
「私が知る限り、種族の能力限界を超えるような術式は存在しないわ」
ラヴィニアは首を左右に振った。
「私が知っていることもあるけど……それは彼との約束だから、誰にも言わない。もし知りたいなら、彼に直接聞くしかないわね」
「……なるほど。ま、この大会が終わったら聞いてみるか」
ミラがニヤリと笑う。
「ただ――そもそも君はまだ能力限界に達していないと思うわ」
「えっ」
ミラはラヴィニアの言葉に驚く。
「はは、もう限界を超えてるくらいだと思ってたけどな」
「君の種族名は【ソニックブレイダー】……その特性は速さ……」
ラヴィニアが謳うように告げる。
「速さを極めなさい、ミラさん。君が求める強さは、その先にある」
「速さを――」
「君は、もっと速くなれるわ。私が知っている【ソニックブレイダー】の中には君よりも速い魔族が――限界まで速度を極めた者がいる」
その言葉が、ミラの胸に熱い火を灯す。
「へへっ、なら俺もそいつと同じくらいまでは速くなれるってことか」
なってみせる――。
ミラはそう誓った。
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