114 猛者たちとの再会
「まあ、そう身構えるなよ。あのときは【第一段階】のゴーレム変化で相手をさせてもらったが、今度はもっと先の段階まで出すからな」
ルインがニヤリとして言った。
「お前が強くなったことは聞いている。もし、あのときの俺と戦ったら、お前が勝つだろう。あっさりとな」
「……!」
「だけど、俺にもまだ見せていない力がある。今のお前と本当の俺と――早くぶつけ合いたいもんだな」
「ああ、待っていてくれ」
俺はルインを見つめた。
「必ずお前のところまで行く」
「おう、待ってるからな」
ルインは楽しげに言って、去っていった。
――と、入れ替わるようにして、別の魔族が現れる。
「噂は聞いているぞ、ゼル・スターク。随分と戦績を上げているようだな」
と、三十代くらいの美女が歩み寄ってきた。
ん、誰だ?
疑問に思った後、ハッと思い出した。
「あ、中級魔獣討伐任務のときの――」
「覚えていてくれたか? 第七騎士団2番隊隊長のリザーナだ」
彼女が言った。
以前、中級魔獣【ボランザ】討伐のため、複数の部隊による合同討伐任務があった。
その最中、俺は初めて異空間闘技場に入り、大幅にパワーアップできたわけだが――。
そのときに部隊を統括していたのが目の前にいる美女である。
「あのときからどこまで強くなったのか……見せてもらうぞ」
「ええ、本選でお会いしましょう」
と、
「楽しみですね」
「本当に……早く戦いたいです」
リザーナの後ろから二人の魔族が現れる。
瓜二つの顔をした美しい少年と少女。
「お、お前たちは――!?」
俺は驚いた。
異空間闘技場で出会った中級闘技場のボス……羅刹と夜叉だ。
「どうして、ここに……」
「あなたに興味があって追いかけてきたんですよ」
少年魔族、羅刹が微笑む。
「あの闘技場にずっといるのも暇ですから。ときどき遊びに来てるんですよ」
少女魔族、夜叉がクスクスと笑う。
「まったく、物好きな奴らだ」
さらにもう一体の魔族が現れる。
「阿修羅……お前まで」
俺は驚いた。
三面六臂の魔族――こいつは下級闘技場でボスを務めていた奴だ。
かつて戦った、あるいは共闘した猛者たちとの再会――。
俺は、全身の血がたぎるような興奮を覚えていた。





