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112 バロールとサーラ2(バロール視点)

「ま、まだだ……っ」


 バロールは弱々しく立ち上がった。


「えー、まだやるの?」


 サーラが顔をしかめた。


「時間の無駄だよ、無駄無駄。君が100万回挑んだってボクには勝てないよ」

「やってみなければ――分からない」


 バロールの全身から剛毛が生え、頭が人型から狼のそれに変わる。


「【獣人化】……ねぇ。だから無駄だって」


 サーラは馬鹿にしたようにため息をついた。


「なら、受けてみろ!」


 狼の獣人と化したバロールが突進した。


 この形態になると、変身前と比べてパワーやスピードがおよそ3倍になる。


 いくらサーラといえど、簡単には対応できないはずだ。


 牙を、爪を、連続で叩きこむ――。


「おそっ」


 サーラは呆れたような口調で言った。


「なっ……!?」


 一瞬にして目の前から消え去ったサーラは、次の瞬間にはバロールの背後に回り込んでいる。


 獣人化した彼と比べても、サーラのスピードは圧倒的だった。


 異常、だった。


 反応すらできないとは――。


「もう、おしまい」

「ぐはっ」


 みぞおちに痛撃を食らい、バロールはその場に崩れ落ちた。


 同時に獣人化も解けてしまう。


 もはや、ふたたび獣人に戻るだけの体力も魔力も残っていなかった。


「つ、強い……」


 強すぎる――。


「違う。君が弱すぎるんだよ」


 サーラは冷たい目でバロールを見下ろしていた。


「去れ」




 結局、それから数日後にバロールは1番隊から去ることになった。


 実力不適格、ということだ。


 あの日から、彼はサーラに受けた屈辱を忘れたことはなかった。


「ようやく借りを返せるところまで来た――」


 おそらくサーラも対抗戦に出てくるだろう。


「ようやく……借りを返すときが来た」


 そして彼女を見返すときが。


「そのためにはまず――1番隊の選抜チームと戦えるところまで勝ち進まないとな」


 バロールは燃えていた。


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敵国で最強の黒騎士皇子に転生した僕は、美しい姉皇女に溺愛され、五種の魔眼で戦場を無双する。


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