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第22話 ゲートがありましてね。

 今回の魔王の件について、屋敷の広間で会議を開いた。

 

 

 議長は当然、俺だ。

「そもそも、十大魔王の一人がこんな街中にいた理由は?」

 というか、封印されていたり、近所の村にいたり、十大魔王って身近にいすぎな件。

 

「この街のどこかに魔界に繋がるゲートがあるのだろう。シャベレゲブレもそこを通ってきた」

 グレイが自分の髭をひっぱりながら言った。

 

 シャベレ……酒魔王は、酒場で普通に代金を払って飲んでいた、まさに普通の客だったけどな。

 

「ああ、それは方法であって、なぜこの街に? って話だよ」

 ゲートがあること自体、大問題だけども。

 

「それでしたら、いくつか考えられますわ」

 そうシャルが手を挙げた。

「ふむ、例えば?」

「例えば……、魔王の封印を解こうとしていたとか」

「ああ、アスデスの封印か」

 

 そしてローザも手を挙げた。

「あるいは、封印が解かれた瞬間、魔王の魔力が消えたから」

 うむ、感じ取っていたという線も、あるかもしれない。

 

「つまり、考えるには情報が足らないって事か。あ、酒魔王はどうした?」

「ああ、酒場で呑んでるにゃ。魔王だった頃の記憶は一切失ってたにゃ」

 金は持ってたのか。上客かよ。

 と言うか、本当にアイツは何も悪いことをしてない件について、誰も触れない件について。

 まあ、議題にあげないでおこう。

 

「まあ、とにかく魔界に繋がるゲートは問題だから、とりあえず探そうか」

「「はい」」

 返事は実に素晴らしい。

 

「で、ゲートってどんな?」

「形はゲートによって違うが、黒い穴」

 ざっくりしたグレイの説明。

 

 

 これは捜索が難航しそうだ……。

 と、思うじゃん?

 

 ローザがまた手を挙げた。

「あの……、ベネット様、そのゲートに心当たりが……」

 我々、捜索に出る前ですよ?

 

「ちなみに、どこにある?」

「我が家のダストシュートです」

 はてダストシュートとは?

 

「ローザ、ごめん、詳しく教えて」

「この屋敷には、ベネット様がいらっしゃる前から、ゴミを捨てる穴がありました。おかしいなとは思っていたのですが」

「ふむ、見に行こうか」

 

 

 裏庭に出て、煉瓦造りのゴミ焼却炉の蓋を開けた。

 そこは先の見えない暗い穴になっていた。

 手を伸ばせば届くような距離なのに先が見えない。

 うむうむ、おかしすぎるよローザさん。

 

 まあ、焼却炉に火が入っているのを見たことがない気はする。

 

「うむ、これこそゲートだ」

 グレイさん、確信しましたね。

 

 つまり、我が家は魔界にゴミを捨て続けてきたことになるのだが。

 

「あ、この穴なら公衆浴場の女湯にもあったわねぇ。ゴミ箱代わりにしてたわぁ」

 そして母さんの爆弾発言である。

 

「そういえばにゃ、シャベレゲブレも酒場にあった穴に、※※※※と吐いてたにゃ」

 パンサーよ、自主規制するようなものまで魔界に放ったことになるぞ。

 うん? というか、魔王本人だからいいのか?

 

 下手したら、もっとありそうな予感がしてきましたねぇ? そのゲート。

 

「みんな、ちょっと街で聞き込みしてきて」

「「はーい」」

 相変わらず、返事は実に素晴らしい。

 

 

 そして一時間後、俺たちは再び裏庭の焼却炉前に集合した。

 

「つまり、なにかい? この街が綺麗なのは全部、魔界にゴミを捨ててたからだったって事でオッケ?」

「「うん、うん」」

 みんな一斉に頷きましたよ。

 

「誰も、変に思わず、疑いもせず?」

「「うん、うん」」

 そしてみんな一斉に頷きましたね。

 

「なんだったら、伯爵の力だと思い込んでた住人もいましたね。シュペー商会でも、実際そう思ってました」

 ミカさんまで……、そうですか。

 むしろ母さんの力ならありそうだが。

 

 さておき、発展した我が街のゴミ問題を、今までずっと魔界に押し付けていたという事実。

 なんか申し訳ない気がしてきたんだが。

 

 

「まあ、とにかくだ。なぜ繋がったかはさて置き、向こう側を確認しなくちゃいけない訳だが」

 と、俺がみんなを見た瞬間だ。

 あれ、俺嫌われてる? ってぐらいの勢いでみんな目を逸らしやがった。

 

 まあ、ゴミ捨てた先の確認とか、普通は嫌なのは分かる。

 しかも、下手したら酒魔王の※※※※もあるわけだし?

 ちなみに俺も、ごめんだ。

 

「パンサー、中を覗いてみてくれ」

「い、いやにゃ!  駄目絶対にゃ!」

 ふむ、尋常ではない拒みようだ。

 

 やっぱりみんな、俺から視線を逸らしたままだ。

 

 だが、見兼ねたのだろう。

「分かったわベネット。ここは母さんが……」

 母さんが強い。でも母さんならきっと勝てるはず。

 何に勝つかは知らんが。

 

「いえ、そんな! リゼ様に、他人の※※※※がある場所を確認させるなんて出来ません!」

「そう? じゃあヘキサちゃん頼めるかしらぁ?」

「はいぃぃ! 喜んで!」

 と、ヘキサは泣きながら笑っていた。

 

 そして、焼却炉に顔を突っ込んだヘキサ。

「ぎゃぁぁぁ、※※※※が、鼻に鼻先に!! くぁwせdrftgyふじこlp オロロロロロ」

 ヘキサは、意味不明な言語と、()()を魔界に放ちながら卒倒した。

 

 恐るべし魔界。むしろ恐るべし※※※※。

 とにかく、これで魔界がゴミの山になっている事は確定した。

 

「じゃあ、仕方ないわねぇ」

 と、母さんが掌だけを突っ込んだ。

 

「母さん、まさか?」

「ええ。そぉれ! 暴風乱舞(wind storm)

 な、なんてことを! まさに悪魔の所業!

 俺たちが捨てたゴミに触れたくないがため、無差別に魔法という暴力をぶっこみましたね!?

 

「よし、これで大丈夫ね。ヘキサ、もう一度おねがいね」

 ねぇ、なにが大丈夫なの母さん? 

 と言うか寝てろ、起きるんじゃないヘキサ。と、思わなくもないのだが、起きるよねぇヘキサなら。

 母さん悪気がないからさ、ごめんねヘキサ。

 

 ヘキサはゾンビのように立ち上がり、再び顔を突っ込んだ。

 

「どう? ヘキサちゃん」

 母さんが問い掛けると、ヘキサは穴から首を抜いて、

「なにもありません! 禍々しいだけです!」

 それを聞いてから、母さんも顔を突っ込んだ。 

 

 そして、顔を出して母さんは、

「よし、ゲートの理屈は理解できた。これでこっちからもゲートが魔界に開けるわ」

 久しぶりに出たよ、とんでも発言。

 

 だが、まあ、何があるか分からない場所に飛び込むよりはいいかもしれないが……。それってつまり……?

 

「魔界にいく? いっちゃう? ぶっ潰しちゃう?」

 やっぱりか。てかママンよ、どうしてそうなる?


 と言うか、母さんがゆるい感じでシャドーボクシングを始めた。

 ぽよんぽよんしている。何がって? それは言わないけどね。

 

 潰すとかはさて置き、ゴミの件は、絶対こっちが悪いわけで……。

 まあ、なんにせよ、一度は赴くべきですよね? 

 

 嗚呼、冒険の香りがするよ。

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