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第11話 婚礼が行われましてね。

 そして迎えたエリー姫の婚礼の儀。

 ここ数日宴会続きだったが、いよいよ締めくくりだ。

 

 大聖堂は華やかに飾られ、その中央を艶やかなエリー姫とその夫となるアングラウス皇子が歩いて来た。

 

 共感なのか、感情移入なのか、母さんは涙ぐんでいた。

 その隣で、何故お前が? と思わなくもないが、パンサーも泣いている。

 

 で、そんな俺の視線に気が付いたのか、母さんが呟いたんだ。

「母親の気持ちよっ……。ベネットもいつか、お嫁に行っちゃうと思うと」

 お嫁にはいかねえよ? 思うのは勝手だが、まず間違いを正そうか。

 まあ、嫁は欲しいけどな。

 

 

 赤絨毯を踏む綺麗な花嫁。

 そんなエリー姫が俺たちの前で足を止めた。

「リーゼロッテ様、ベネットさん、それとパンサーちゃんも、本当にありがとうございました」

 エリー姫のこの感じ、猫は付け足しだな。

 

 さて置き、アングラウス皇子も俺たちに目礼を向けている。

 てか皇子は黒髪に黒い瞳の、いわゆるあまいマスクってヤツだ。

 母さんも認めるイケメンだ。

 

 俺は認めないけどな、世間一般のイケメンってヤツ全般。

 

 

 婚礼の堅苦しい儀式が終わると、さて夜は宴会だ。

 では今日も浴びますか。何を? 酒を。

 

 と、思っていたら、おもむろに母さんが俺の腕を引いた。

「どうした?」

「うん、少しだけつきあってくれる?」

 別にそれはかまわないが、改まってなんだろう。

 

 俺たちは、宮殿のバルコニーに出た。

 階下の、宴会に興じる人々が見下ろせる場所だ。

 当然、エリー姫も皇子も見えた。

 

 俺は、何を言うでもなく、母さんを眺める。

 すると母さんは、両手を持ち上げ、魔力を練り始めた。

 

 危険な感じではなく、これは()()()()()()だ、と俺の直感が告げた。

 

 そして放たれた。

『ヒュー……――ドンッパラパラパラ』

 

 天高くで、大輪の花が咲いた。

 花火師の魔法か。

 

 きれいな花火だ。

 

『あぁぁぁれぇぇぇぇぇ……――』

 ん、今、上空で何か……。

 

 まあいいか。

 それより、母さんは、こんな事も出来たのか。

 俺は、やっぱり口には出さないが、尊敬の念ってヤツを込めて母さんに視線を戻した。

 

 そしてもう一発。

『ヒュー……――ドンッパラパラパラ』

 

 宴会客だけじゃない。

 きっと国中の人々が見上げているだろう。

 

「あなたのパパとね、一緒に何度も見たわ」

「花火をかい?」

「ええ。あんまり綺麗だったから――」

「だから花火師の魔法を覚えたって?」

 普通は出来ないよ。かの名高きリーゼロッテ殿ってヤツは、これだから。

 なんて、思わなくもないが。

 

 母さんと目が合った。

 

 母さんが、俺に微笑んだ。

 

「そうやって笑うところ、凄く似てるのよ」

 俺は無意識に笑っていたらしい。そして父さんにかい? なんて疑問は考えるまでもない。

 そして飲み込んだ。

 母さんの微笑みの奥が、なんとなく悲し気だったからだ。

 

 もし、どこかで父さんもこの花火を見ているのなら、気が付くのだろうか? 

 なんて俺も、片足程度、感傷に浸った。

 

 

 こうして婚礼からの宴会も、つつがなく終わった。

 

 明日、俺たちはトリウス王国への帰路に就く。

 

 ※※※※※※

(SIDEヘキサ)

 

 私の名はヘキサ。

 闇に潜む孤高の天才暗殺者だ。

 

 狙った獲物は逃がさない。私は今まですべての依頼を熟して来た。

 そう、私は失敗ゼロの女。

 だから、依頼者に向かい、いつだってこう言う。

 

 私、失敗しないので。

 

 ちょうど帝国は式典の最中、この騒ぎに乗じて暗殺を仕掛ける。

 

 狙いは悪魔の化身リーゼロッテ・ディラグリオ。

 細心の注意を払い、上空から一気に決めてやるのだ。

 

 さすがの悪魔エルフも、闇夜に乗じて飛翔魔法で接近して来るとは思うまい。

 

 しかも私にしか出来ないであろう狙撃魔法で狙い撃つ。

 氷魔法で作られた極小弾丸が、心の臓を射抜くのだ。

 

 痕跡も外傷も殆ど残さない。そう、こうして標的に原因不明の死が訪れるのだ。

 

 しかもお誂え向きに、標的はバルコニーにいる。

 

 さぁ射程距離内だ。

 リーゼロッテは男と語り合っている様子で、完全に気を抜いているのが分かる。

 ふふふ、今回も簡単な仕事だったな。

 と、私はプロだから気を抜いたりはしない。

 

 完璧、確実、丁寧に。

「くらえ! 魔弾狙撃(Snipe)

 

 私が、指先を差し向け、魔法が発動しかけたその時だった。

 

「え?」

『ヒュー……――ドンッパラパラパラ』

 

「あぁぁぁれぇぇぇぇぇ……――」

 

 

 

 ※※※※※※ 

(SIDEアナザー)

 

「ヘキサがやられた……だと?」

「なんだって、こちらの最強の手札だぞっ」

 

「もしや、あの悪魔にバレたのか?」

「それはマズイ。一刻も早く隠れよう」

 

「うむ、次の手も急がねば」 

「しかし恐るべしは、リーゼロッテ!!」

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