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俺は才女に甘い

2話目

 イヴは基本生活能力がない。

 言い方に棘があるが事実なのでしょうがないのだ。

 自分でやろうという向上心は見受けられるが 一人で服も着れない、お風呂も一人で入れない。

 だから、俺が彼女をサポートをしている。







 イヴの住む家は一階に生活スペースがある。お風呂やキッチンなど。広々とした台所の他に三畳ほどの大きな風呂場、3人が同時に入っても余裕あるスペースで料理できるキッチンがあるなど結構広い。

 地下にはイヴの工房の他に八畳くらいの大きな空き部屋が二つある。今は俺とイヴが一部屋ずつ使っている。

 

 俺は地下から階段を上がり広い風呂場へ。

 イヴの風呂は俺が入れている。

 生まれつきの固有魔法の「念動力」が使える。亀よりは動きは早いが文字通り物体を空中移動させられる魔法。

 俺は目隠しをしながらミスリルの櫛を使い、イヴを支えてサイキックで服を脱がしていく。


 イヴのウトウトと小船を漕いでいる。

 本当、女の子なんだから恥じらう事もしない。

 言っても仕方ないので気にせず進める。

 

 イヴを裸にし、ゆらゆらと空中を小さく上下に揺れながらもイヴを風呂場に入れスライドドアを閉める。

 顔にお湯がかからないように髪を上あげシャンプーハットを被せる。

 ゆっくりとバスチェアに座らせ、ブラシをかけて髪についた汚れを落とす。


 初級魔法の水と火魔法を使いバスケットボールほどの温水球を作り出し、即席シャワーを上からかけて髪全体を濡らしていく。

 

 魔法を使いシャンプーの入った容器から液をイヴの髪に垂らしてシャンプーブラシを使い優しく洗う。

 その時ゴシゴシとするのではなく優しくするのがポイントだったりする。

 

 洗い終わったら再び温水シャワーで濯ぎ落とす。

 5分ほどかける。

 

 そして、最後にリンスを髪の毛先につけるようにして流して完成である。


『ふひゃぁぁ。良きかなぁ』

「そりゃよかった」


 ドア越しに感想が聞こえたので適当に応答する。


「湯船入れるからゆっくり浸かるように」

『……うぃぃ』


 気の抜けた返事。かなりくつろいでるな。

 

「15分後また来るから」


 そう一言告げて俺は風呂場からキッチンに向かった。


 

 




「……ここは綺麗なんだな」


 散らかっていることが心配だったのでひとまず深呼吸した。

 キッチンは俺が片付けたままであった。


「今から作るか」

 

 15分と手の込んだものは作れないから自然と作るものは決まってくる。野菜スープだ。水分と栄養が同時に摂取できる優れもの。

 材料は今あるやつで作れる。


 まずは野菜と牛肉を空中に浮かべ適当に食べやすいサイズに野菜と肉を切る。

 それと同時進行で鍋の中に水を魔法で出して火魔法で沸騰させる。

 そのまま出汁を取るための乾燥させた小さな小魚を入れる。


 料理時間短縮のため他フライパンでフライパンで牛肉を少し焼く。

 それから出汁をとったあと、刻んだ野菜、肉の順に入れて煮込んでいき、最後に野菜を乾燥させて作ったコンソメを入れる。


 とりあえず早く寝させたいし、栄養を取れればいいよな。

 一応昨日ご飯を食べた形跡あるし、断食状態にはなっていなかった。


「後は水分もしっかり摂らせて……うん、大丈夫そうだな」


 そのままに煮込み続ける

 あ、そろそろ15分くらいか。


 頃合いを見てイヴの着替えを取ると風呂場へ向かう。

 

「イヴ、調子どう?」

『……ふぁー。あぁ、レイくん気持ち良かぁ』

「そろそろで出ようか」

『まだ、入っていたいよぉ』

「ダメだよ。イヴ長風呂するとすぐのぼせるから」

『……ブー』

「むくれてもダメ」

『……ういー』


 渋々了承したイヴをサイキック魔法で上がらせる。

 バスタオルで体を拭き、パジャマを着させる。


「……気持ちよかったぁ」

「髪乾かすからそこ座って」

「ういー」


 イヴの表情筋は緩みきっていた。

 完全リラックスしていて、肌は赤みがある。

 風魔法と火魔法を使いドライヤーを再現して10分ほどかけ乾かした。


「ありがと」

「どういたしまして」

「ふにゃぁぁ」


 お礼を言えたのは偉いな!

 頭を撫でるとイヴは自分からさすってくる。

 猫みたいだなぁ。


「ご飯出来てるから行こうか」

「楽しみぃ」

「そんな期待しないでよ。ただのありあわせだから」

「レイくんの料理はなんでも美味しいから!」


 ……嬉しいことを言ってくれるな。

 俺はイヴを抱えると台所へ向かった。







 鍋からスープを容器に入れ、スプーンをイヴの前に置く。


「うん……ありがと」

「……」


 イヴは礼を言ったあと……何故か口をぽかんと開ける。

 なんだよ。

 

「……あ」

「えと……なに?」

「……あーん」


 あ、食べさせろと言うことか。今日はいつも以上に甘えてくるな。

 ……そういえば24時間も俺がこの研究所を空けたのは珍しい。

 寂しかったのかな?


 普段は自分で食べてるし今日くらいいいかも。


 ……俺はイヴに甘いんだ。

 スプーンを持つとスープを掬い上げる。

 水魔法を応用した氷魔法を使ってイヴが食べやすい適温に冷まして食べさせる。


「わかった。はいあーん」

「……ん……美味」

「そりゃ良かった」


 満足なようだ。

 食べると口角を上げて微笑むイヴ。


 俺はそんなイヴに微笑みつつ、食べさせてあげた。

 全てを食べ終わった時にはすでに目が覚めていたのか、その後の歯磨きは自分でやっていた。

 少し驚く。こういう日はベッドに連れて行けとか、歯を磨いてとか言うと思っていたが。


 そのことを聞くと。


「レイくんにそんなことさせられないよ」


 と照れながら言われた。

 いや、イヴさんや……髪を解かしたり食べさせてもらったの忘れたのかい?


 そう思ったが、イヴが自発的に動いた理由はすぐにわかった。


「……レイくん、眠るまで手を握ってて?」


 なるほどそれをお願いするためにベッドに行くまでの行動をしたと。別に手を握るくらいいいのに。

 そんな甘えてくるイヴに鼓動がドキリとするも、俺はイヴの手を握ってやる。


「わかったよ、掃除しなきゃだから寝るまでな」

「……うん」


 一言そう返したイヴはとても嬉しそうだった。

 ……イヴはそれから10分ほどで寝息が規則正しくなる。

 熟睡したのを確認したことで寝室を出た。


 俺は音を立てずにドアを閉めるとそのまま壁に額をつける。

 ピタッとつけた時、溜まっていた身体中の熱が冷えていくのを感じる。


 どうしても甘やかしてしまう。

 俺はイヴに甘いんだ。


最後まで読んでくださりありがとうございました。


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら差支えなければブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントはモチベーションになります。


よろしくお願いいたします。


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