才女の謎行動2
もしかしたらイヴは機嫌が悪いのかもしれない。
こんなのは初めてだ。
どうにか機嫌を取りたいが、今までにない傾向なのでどうしたらいいのかわからない。
とりあえず経過観察をしようと思う。
『レイくんありがと、ちょっと浸かってから行くね。ご飯作ってて』
「あー…わかった。のぼせないように気をつけるんだよ。……あ、あと風呂の中は滑るからね。出たら俺を呼ぶんだよ」
『ういー』
イヴを洗い終わりお風呂につける。
イヴにしては珍しく自分で風呂を出ると言った。自発的行動なので良い傾向なのだと結論づけイヴの意思を尊重する。
服とタオルを用意してお風呂場を出た。
そのままキッチンで料理をする。
今日の夕食はハンバーグとオムライス。
イヴの好物だ。
ご機嫌斜めなら好物を出せば喜ぶし機嫌も治るだろう。
料理は完成したしあとは盛り付けをするだけ。その時だった。
「ねえ、ねえ、レイくん」
「……あ、自分で出たんだ。服は着れたの?」
「うん」
「そうか……自分で着れたのか。えらいえらい」
手を止めることなく作業を続ける。
いつもは着せてぇ、って来るのに。
成長したんだなぁ。親離れする父親の気持ちじゃないけど少し寂しかったりする。
「今日はハンバーグとオムライスだからね。もうすぐできるから席に座ってて」
「……」
「……イヴ?」
イヴからの返答がない。
どうしたんだろうか?
「ねえ、ねえ、レイくん」
「どうした?」
「……」
再び呼ばれ反応するがイヴは黙る。
少し違和感を感じだ。なので火を弱火にして後ろを振り向くとーー。
「きゃ、きゃーー。レイくんのえっちぃ」
「……」
何故かイヴは体にタオルを羽織っているだけだった。棒読みで発言するイヴ。
いや、本当に何がしたいんだよ。
意味がわからん。
そんなことより。
「ちゃんと服はしなきゃダメでしょ?服着せてあげるから風呂場に戻りなさい」
「……あれ?」
イヴは首を傾げる。
どう反応すべきかわからず、イヴの体をタオルで包むとお姫様抱っこで風呂場に向かう。
「……ドキらないの?」
「え?さっきから何言ってんの?熱でもあるのか?……いや、平熱か」
両手が塞がっているので自分のおでこをイヴに当て熱を測るが平熱。
「……許してあげる」
「……何が?」
今日のイヴは少し変だ。
まあ、顔を急に近づけたのも要因だろう。顔が少し赤い。
風邪ではないとするなら……いや、深く考えなくてもいいか。多分気まぐれだろうし。
イヴは。
「やったぁ!ハンバーグ!オムライス!」
いつも通りに戻った。
やっぱご機嫌取りは美味しいものに限るな。
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