才女の謎行動
イヴと婚約関係にある俺はある程度才女の生態について理解できていると思う。
だが、たまにイヴがしたいことがわからないときがある。
特に今日はわからないことだらけ。
「はぁ……なんか疲れた」
ガチャガチャと食器が触れ合う音の中、泡を立てながら食器を洗っていた。
最近色々あったし、たまには一日ゆっくり過ごすのもありかなと思っていた。
ただ、魔法で全て家事全てやると楽を覚えてしまうと思いなんとなく気まぐれに手で食器を洗っていた。
「ふはぁ」
イヴも見ての通りソファに腰掛けくつろいでいる。
俺もたまにはゆっくり過ごすのもいいと思った。
「ねぇ、ねぇ、レイくん」
ふと、ベッドでくつろいでいたはずのイヴが俺の右肩をトントンと叩く。
何か用事かな、そう思い左から首だけ回し後ろを振り向く。
「どうしたイヴ?」
「……別に」
「……えぇ?」
な、何がしたかったんだ。
振り向いただけでむくれるって……わからない。今のイヴがわからない。
そのまま振り返るとソファーに寝転び占領した。
同じようなのはその後も続く。
「はい、ありがとうございます」
「いえいえ、マイどぉ」
魔宅急便から荷物が届いた時であった。
魔宅急便とは、この前世の宅急便である。
手紙から大きな荷物までものという物を運びこの世界の流通を支えている。
魔法袋と呼ばれる容量の広い入れ物の中に入れて運んでいる。
「少し重いな……なんだろう」
両手で抱えられる重さ。
10kgもないくらいだろう?とりあけず家の中に入れると中身を確認する。
随分と厳重に止まっている。
何か頼んだだけ。
とりあえず、テープや紐を土魔法で作ったナイフを使って開けていく。
だが、しゃがみ姿勢だとどこかやりずらい。
やっぱテーブルに乗せて立ってやろうかと思った。荷物を持ち、立ちあがろうとした時だった。
「ねえねえ、レイくんレイくん」
両肩をトントンと叩きイヴが俺の名を呼ぶ。
今度はなんだ?
立ち上がって後ろを見ると、
「あれ?イヴ?」
立ち上がったが視界に映らない。
だが、ゆっくりとしたからイヴの頭が見える。
「そこにいたんだ。どうした?おやつでも食べたいの?」
「……別に」
ぷいっと振り向き去ってしまう。
「……えぇ」
戸惑いが溢れる。
一体どうしたんだよ、イヴ。
「レイくん、おんぶして?」
「……何を企んでる?」
「別に?」
突然おんぶを要求する。
イヴは嘘が下手だ。視線を逸らし口を尖らせる。
少し警戒したが……。
「わかったよ……ん」
「ありがと」
とりあえず腰を下ろしておんぶする。
イヴを乗せて立ち上がると……。
「レイくん、レイくん」
「ん?何」
「こっち向いて」
「だから何がしたいーー」
両肩を軽くポンポンと叩かれ振り向くと頬に何かが刺さる。
それはイヴの小さな指先だった。
……ああ、なるほどこれをやりたかったのか。
「なるほどね。イタズラがしたかったんだ」
「……ドキッとした?」
「え?」
「ドキドキした?」
「いや、全く。これっぽっちも」
ニヤニヤしながら聞いてくるイヴ。
だが、率直な感想を伝えたのだが。
「……おろして」
「え,危ないって]
急に暴れ出しだしたので床に下ろす。
「……お風呂入ってくる」
「う、うん」
早歩きで去ってしまう。
……本当に今日のイヴはわからない。
だが、風呂場に向かったイヴであったが、突然静止する。
踵を返し戻ってくる。
「……体洗って」
「わかった。行こうか」
「うい」
……本当に何がしたいのだろう?
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