ざまぁ・・・やってやるわよ
新読感ざまぁ・・・なんちて。
それは、豪華絢爛たる舞踏会の日でしたの。
「ベノア・ラ・フランシーヌ伯爵令嬢これをもって婚約破棄を言い渡す」
ジョルジュ王太子は宴もたけなわ時を見計らい、堂々と皆の前で宣言しましたの。
とんだ赤っ恥~。
この瞬間、王太子の妻の座は剥奪されることになりました。
悔しいですわね。
「理由を聞かせていただきたいですわ」
「よくも、いけしゃあしゃあと!我が愛しのアンヌ嬢に、傍若無人な振る舞いをしたではないか」
「身に覚えがございませんわ」
「しらばっくれるなっ!ベノア、証拠はあがっているんだぞ!」
「ほう、だったら証明してくださいな」
「アンヌ嬢をひっぱたいたそうだな」
「それは蚊がいましたから」
「では、先月の父上のバースデー舞踏会のさい、ワインで彼女のドレスを汚したな」
「それは、手がすべっただけで・・・」
私は両手を大きく広げ王太子に、そして聴衆と化している貴族たちへ訴えましたの。
だけど、
「黙れっ、他にも山ほど彼女にした狼藉があるぞ」
「あなたに悪い虫がつかないようにする為じゃない。それが妻となる者のつとめ」
私は平然と言い放ちましたのよ。
「もうよい!お前の腐った性根など聞くに値せん。アンヌ」
「あい」
「この場にて宣言す。我はウィンドゥ・アンヌ子爵令嬢を次期婚約者とすることに決めた」
「あーし、ちょー嬉しい」
あのアバズレが、王太子に抱きつきましたの。
「よってベノア・ラ・フランシーヌ伯爵令嬢は、婚約破棄及び、王太子婚約者アンヌに対して、これまでの非道な振る舞いに対し、屋敷への幽閉、王直属隊の監視下におくことにする」
「ずいぶんですわね」
「話は終わった。ベノアよ即刻この場より立去れ」
「・・・・・・」
私は唇をぎゅっと固く結び王宮を後にしました。
「許さない!」
私は固く誓いました。
◇◇◇
ある日、王太子は貴族仲間と狩りへと出かけました。
私はこの好機を見逃しません。
監視の目を欺くなど容易い事。
ふふふ、ジョルジュあなた知らなかったでしよう。
我がフランシーヌ家は代々あなた方王家の影となり働いてきました。
政敵に仇なすもの、皆々すべて闇へと葬ってきました。
アサシン・ベノア。
それが私の真の名前。
王太子は、仲間たちと狩りを楽しんでいました。
まだまだ。
私は復讐の機会を待ちます。
狩りは大成功に終わったようです。
うかれた貴族たちは、早駆けで城に帰ろうと馬を走らせます。
木陰に隠れた、私は小さなポワニャール(短剣)を王太子の馬の尻に投げつけました。
ヒヒーン!
馬は驚き、王太子を振り落とします。
もんどりうって地べたに落ちた王太子を、仲間たちは、次々と笑いながら先へと駆けて行きました。
「ちょ、待てよ!くっそ~」
王太子が立ち上がった瞬間、私は彼の背後に回り込みました。
「ごきげんよう。ジョルジュ」
「お前は」
「そうベノアですわ」
「なっ、何を一体!」
「あなたのビュニシオン(罪)は重い、よってエグゼキュシォン(処刑)しますわ」
私はアサシンラム(刃)を愛しき男へ突きたてた。
「やめろっ!ゆるしてくれっ!おねがいだっ!」
「サヨナラ、私の初恋。永遠のセバラシオン(別れ)」
斬撃と悲鳴とともに。
私は・・・。
「ざまぁですの」
と、ぽつり、呟きましたの。
◇◇◇
王太子は青空を仰ぎやがて視界を失った。
・・・。
・・・・・・。
血まみれのベノアは王太子の首を胸に抱きしめ、廃墟と化した森の奥の古城へと向かった。
「ジョルジュ今、私幸せよ。あなたもでしょ。もう、恐れるものなどないっ!私はありのままに生きる!ほほほほほほほほほほほほほほっ!」
いつしか、廃城を訪れる者は、謎の死を賜ると噂になり、そして・・・。
ここは赤の女王の棲家とよばれるようになった。
ざまぁの修練成果みせてやる~(笑)。