表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/23

帰り道

 毎年、この時期は。


 名前は忘れた。

 あたしは幼い子どもだったと思う。

 お母さんの言う、お国の仕事が終わるまで、どっか(多分親戚の家)に預けられていた。

 ガラっと扉を開ける音、そしてトタトタの足音。

 お母さんだ。

 迎えに来ると、いつも飛びついて喜んだ。

 ずーっと、お母さんと一緒にいれたらいいのになあ。

 あたたかいお母さんの手。

 ぎゅっと握りしめ、帰り道を歩く。

 あたしは、おうたを歌いながら、お母さんは上手だねと褒めてくれた。

 サイレンが鳴る。

 空襲警報だ。

 これがなると危ないんだって。

 お母さんの顔が急に怖い顔になった。

 あたしの手を強く握りしめると、

「あっちゃん走るよ」

 って、思いだした、あたしの名前あつこって言うんだよ。

 走りながら見上げると、空がビカビカに光だす。

 大きな音が近づく。

 ぶぃーんと大きな羽根音がした。

 それからものすごい音がしたんだ。

 ・・・・・・。

 閃 光。

 ・・・・・・。

 あたしとお母さん死んじゃった。



 あたし生きたかった。

 おいしいものお腹いっぱい食べたかった。

 お母さんにもっとぎゅっとしてもらいたかった。

 もっともっと絵本読んでもらいたかった。

 学校も行きたかった。

 我慢していた玩具買って欲しかった。

 お嫁さんになりたかった。

 なんで・・・なんで・・・どうして。

 お空にいるの。

 ねぇ、ねぇ、ねぇ。

 お母さん、おかあさん。

「あっちゃん、いこ」

「・・・うん」

 あたしは空から思いを伝えた。


 こういう作品を書きたいと思っています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ