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パタパタと迫りくる影
おいおい。
クラブ終わり、小学6年のケンジは、一人で家に帰っていた。
黄昏時、廃線後、歩道となったところを歩く。
遠くから音が聞こえる。
・・・パタ、パタ。
その音はだんだんと近づく。
パタ、パタ、パタ、パタ、パタ、パタ。
まことしやかに囁かれる怪談伝説、上半身のみの身体で、両手を使い物凄いスピードで走るパタパタ。
(この時を待っていた)
ケンジの口角が歪むと、彼は全力で駆けだした。
パタ、パタ、パタ、パタ、パタ、パタ。
並走し、脅かすつもりのパタパタがまさかまさか置き去りにされる。
「どうしたパタパタさん、あなたの力はそんなものか」
・・・パタ・・・バタ。
足音は遠ざかる。
(だにぃ!馬鹿な・・・馬鹿な・・・このワシが小僧に・・・)
パタパタは敗北を知った。
(韋駄天小僧っ!)
必死に追いかける最中、石に躓きパタパタは転んだ。
パタパタに圧倒的虚無感がおしよせる。
ケンジの爆走スピードはおよそ100mを9秒きっていたとか、いないとか。
どうした、どうした(笑)。




