譲り煽られる
ん~。
彼女が出来た俺は、はじめてドライブデートを楽しみ帰路についている途中だった。
まだまだ焦るながっつくなと自分に言い聞かせて、今日は紳士ぶって家まで送ろうと決めている。
次?次はぁ・・・分からないぜぇ、狼になっちゃうかもよ~。
なんて、心に思いつつ、ニヤニヤしながら交差点へとさしかかった。
俺は先頭で停車する。
右折しようともたもたしている車が、対向車線にいた。
チッと舌打ちしながらも、大人の余裕をみせ右手を差し伸べて、先に行けと促す。
ぺこりと老人はおじぎをするとゆっくりと曲がりはじめる。
その瞬間、逆の車線から飛び出してくる車に、老人の車はぶつかりそうになったが、事なきを得た。
危うく譲り合い事故になりそうだった。
俺は、ほっと胸をなでおろすが・・・。
老人は物凄い形相で睨んでいる。
嫌な予感がした。
触らぬ神・・・老人になんとやらだ。
俺は軽く会釈をして車を走らせた。
その瞬間、老人はドリフトをかまし、俺の車の背後にぴたりとついた。
どういうドラテクだ。
なんで、猫をかぶっていた?
俺は背中に汗をかいた・・・だが、彼女が助手席に乗っているカッコ悪い姿は見せられない。
俺はアクセルをベタ踏みにした。
振り切ってやる・・・しかし。
ぴたり、吸いつくようにくっつく老人の車は、俺の車にテイルトゥノーズをかまし、スリップストリーム走行をかましている。
およそ5㎞におよぶカーチェイス。
法廷スピード順守なんて言ってられない、一発免停のスピードで走る。
だが、赤信号、俺はやむなく停車した。
バタン。
老人は肩をいからせ、猟銃を手にしていた。
ぐんぐん近づいて来る。
ヤバい・・・ヤバいよ。
ずきゅーん!
怖いよね。




